食いしばりボトックスを検討している方に向けて、保険が使えるのか、何単位打つのか、料金をどう比べるかを整理しました。
この記事でわかるのは、保険適用にならない理由、国内承認の単位数の目安、料金と通う頻度の3つです。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。施術の効果や経過、副作用の出方には個人差があります。掲載の施術は自由診療(保険適用外)です。詳しくは医師の診察でご確認ください。
この記事の要点
この記事の数字は、PMDAが公開しているボトックスビスタの添付文書(2026年8月改訂版)から引いています。
保険と税の話は、厚生労働省と国税庁の公開資料を下敷きにしました。
食いしばりボトックスは、奥歯を噛みしめる咬筋にボツリヌストキシンを注射して、噛みしめる力を一時的に弱めることを目指す自由診療の施術です。
「ボトックス」は本来アラガン社の製剤名ですが、ここではボツリヌストキシン注射全体の通称として使い、製剤の話をするときは名前を書き分けます。
咬筋(こうきん)は、耳の下からエラの角にかけて付いている、物を噛むときに最も大きく働く筋肉の1つです。
奥歯をぐっと噛みしめてみてください。
頬の下側で硬く盛り上がる部分が咬筋です。
寝ている間や集中しているときに無意識に噛みしめる癖があると、咬筋が鍛えられたように厚くなり、エラの張りとして見えることもあります。
薬の成分は、神経と筋肉のつなぎ目でアセチルコリンという伝達物質が出るのを妨げ、咬筋が縮む指令を受け取りにくくします。
咬筋の緊張がゆるむと、朝の顎のだるさや、噛みしめたときのこわばりが和らぐことが期待されます。
ただし、注射は噛みしめる力を弱めるもので、食いしばる癖そのものや、ストレスなどの原因をなくすものではありません。
こめかみにある側頭筋も噛む動きにかかわるため、症状によっては咬筋以外の筋肉が話題に上ることもあります。
食いしばりを目的としたボトックス注射は、国内で承認された効能に食いしばりが含まれていないため、健康保険は使えず自由診療になります。

健康保険で薬を使えるのは、原則としてその薬が国の承認を受けた効能・効果の範囲に限られます。
医療用のボトックス注用は、眼瞼痙攣や片側顔面痙攣、痙性斜頸、重度の原発性腋窩多汗症などの病気に対して承認されています。
こうした病気の治療として医師が判断した場合は、保険診療で注射を受けられることがあります。
一方で、歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズム)は、国内のどのボツリヌストキシン製剤でも承認された効能に入っていません。
2026年8月の添付文書改訂で、ボトックスビスタの効能に「65歳未満の成人における咬筋膨隆」が加わりました。
咬筋膨隆とは、咬筋が発達してエラが外へ張り出して見える状態を指します。
ボトックスビスタは眉間・目尻の表情じわと同じく見た目の改善を目的とする製剤で、健康保険の給付の対象ではありません。
エラの張りに承認どおり使っても、費用は全額自己負担です。
食いしばりを和らげる目的で咬筋に打つことは、承認の範囲を外れた適応外使用にあたり、医師が理由とリスクを説明したうえで行います。
顎の関節の痛みや口の開けにくさがある場合は、顎関節症などの病気がないかを歯科や口腔外科で診てもらうことが先になります。
診断にもとづいて作るマウスピースなど、歯科の治療は保険診療で行われる場合があります。
ボトックスとマウスピースは目的が違うため、どちらか一方に決めずに併用を相談する方もいます。
国税庁は、医師による診療や治療の対価を医療費控除の対象とする一方、容姿を美しくする目的の費用は対象外としています。
食いしばりボトックスが控除の対象になるかは、治療目的かどうかや領収書の内容で変わるため、申告の前に税務署へ確認してください。
咬筋に打つ単位数は製剤ごとに決まっており、国内承認のボトックスビスタでは左右の咬筋に合計48〜72単位を6か所へ分けて注射すると定められています。

| 項目 | ボトックスビスタの添付文書の記載(咬筋膨隆) |
|---|---|
| 対象 | 65歳未満の成人の咬筋膨隆 |
| 1回の量 | 左右合計48〜72単位(上限は合計72単位) |
| 注射する場所 | 左右の咬筋に3か所ずつ、合計6か所へ均等に分ける |
| 次の回まで | 症状が戻れば再投与できるが、3か月以内は避ける |
左右で割ると、片側24〜36単位を3か所に分ける計算になります。
添付文書は、口角と耳たぶの下を結んだ線より下で、笑う筋肉(笑筋)や耳下腺を避けて打つことも求めています。
位置の決まりがこれほど細かいのは、薬が周りの筋肉に広がると、笑ったときの口元の動きに影響しうるためです。
単位は、薬の重さや液の量ではなく、製剤ごとの動物試験で定めた効き目の強さ(力価)を表す数え方です。
添付文書には、ボトックスビスタの力価はこの製剤に特有で、他のボツリヌス毒素製剤とは換算もできないと明記されています。
数字だけを並べても比べられません。
「エラ40単位」と「エラ50単位」の料金表があっても、製剤が違えば多いほうが強いとは言えないのです。
咬筋への量を決める手がかりは、主に次の4つです。
量を増やすほど噛む力は弱まりやすくなる一方で、硬い物の噛みにくさや頬のこけを感じる可能性も高まります。
初回は少なめにして、噛み心地が落ち着く2週間後を目安に、次回の量を医師と見直す方法もあります。
食いしばりボトックスの効果は数日から2週間ほどで現れはじめ、3〜4か月ほどで薄れていくため、続ける場合は3か月以上あけて次の回を検討します。
| 注射からの時期 | 顎まわりの様子の目安(個人差があります) |
|---|---|
| 数日〜2週間 | 噛みしめたときの硬さがゆるみ、朝の顎のだるさが軽くなってくる |
| 1〜2か月 | 咬筋の厚みが少しずつ落ち、エラの張りの見え方が変わることがある |
| 3〜4か月 | 筋肉の働きが戻りはじめ、噛みしめる感覚も少しずつ戻ってくる |
ボトックスビスタも対症療法とされ、添付文書によれば効果は通常3〜4か月で消えていきます。
次の回の時期は、効き目が戻ってきたと感じた時点で医師と相談して決めるのが一般的です。
1年に何回という決まった回数はありません。
短い間隔で多い量をくり返すと、体の中に抗体ができて効きにくくなる可能性が指摘されています。
そのため添付文書は3か月以内の再投与を避けるよう定めており、間隔をあけることが効き目を保つことにもつながります。
前回の注射日と、効き目が薄れてきたと感じた日をメモしておくと、次の回の時期と量を決めやすくなります。
内出血や腫れが引くまでの日数と当日の過ごし方は、ボトックスのダウンタイムをまとめた記事で確かめられます。
食いしばりボトックスの料金を比べるときは、製剤名・単位数・医師の手技料の有無の3点をそろえて見ると、金額の違いの理由が分かりやすくなります。
咬筋に使われるボツリヌストキシン製剤には、国内承認のものと、国内では承認を受けていない海外製のものがあります。
製剤によって1回あたりの料金は大きく変わります。
未承認の製剤で重い副作用が起きた場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象にならない点も、金額とあわせて知っておきたいところです。
料金表には「1単位いくら」と書く院もあれば、「エラ1回いくら」と部位ごとにまとめて書く院もあります。
部位ごとの料金を見るときは、その金額で何単位を打つ想定なのかを、施術の前に聞いておくと比べやすくなります。
量を足すと料金が変わる場合もあるため、追加したときの金額も先に確かめておくと安心です。
薬の料金とは別に、医師の手技料や初診料がかかる院もあります。
表示された金額だけで比べず、当日に支払う合計を問い合わせて比べるのが確実です。
どの製剤や料金でも、注射の後には内出血や腫れ、噛みにくさ、頬のこけ、表情の左右差などの副作用が出ることがあります。
料金の安さだけで選ばず、こうしたリスクの説明と、起きたときの対応まで聞いてから決めてください。
食いしばりへの対処にはボトックスのほか、歯科のマウスピースや噛み合わせの診察、日中の癖の見直しがあり、症状と目的に合わせて組み合わせます。
ボトックスを含む4つの方法の違いを、次の表で一覧にしました。
| 方法 | 向いている悩み | 続け方 | 費用の扱い | 気をつけたい点 |
|---|---|---|---|---|
| 咬筋へのボトックス | 噛みしめによる顎のこわばりや、咬筋の張りが気になる | 1回注射し、3か月以上あけて状態を見て検討 | 自由診療 | 内出血・噛みにくさ・頬のこけ・表情の左右差 |
| 歯科のマウスピース | 寝ている間の歯ぎしりで、歯のすり減りや欠けが気になる | 就寝中に毎晩着けて、歯科で定期的に調整 | 診断によって保険診療の場合がある | 着け始めの違和感・合わないときの顎の痛み |
| 歯科・口腔外科での診察 | 顎の関節の痛みや、口の開けにくさ・音がある | 原因を調べてから治療法を決める | 診断によって保険診療の場合がある | 治療法によって異なり、受診先で説明を受ける |
| 日中の癖の見直し | 仕事中や運転中に、気づくと歯を合わせている | 日常の中で長く続ける | 費用はかからない | 効果が出るまで時間がかかり、自分では気づきにくい |
歯科のマウスピースは、寝ている間の歯ぎしりから歯を守りたい方に向く方法です。
噛みしめる力そのものを弱める注射とは違い、歯と歯が直接こすれ合うのを防ぐことが主な役割になります。
歯科・口腔外科での診察は、顎の関節に痛みや音がある方がまず受けておきたいものです。
顎関節症などの病気が隠れていないかを確かめてから、注射を考えても遅くはありません。
日中の癖の見直しは、起きている間に上下の歯を接触させ続けている方が自分で始められる方法です。
上下の歯は、本来は食事や会話のとき以外は少し離れているのが自然な状態とされています。
パソコンの画面の端に「歯を離す」と書いた付箋を貼り、目に入るたびに顎の力を抜く工夫を勧める歯科もあります。
注射をしない選択も十分にありえるので、まず歯科の意見を聞いてから考える方もいます。
メディカルアルファクリニック(心斎橋)の咬筋へのボツリヌストキシン注射は自由診療で、噛みしめたときの筋肉の厚みを医師が触って確かめてから量を決めます。
エラ(咬筋)の料金表の基本メニューとして当院で使用しているのは、韓国製の製剤リズトックスです。
製剤の名称と国内での承認状況は、施術の前に書面でお伝えします。
この記事で紹介した単位数や持続期間はボトックスビスタの添付文書の記載で、リズトックスの単位はボトックスビスタの単位に置き換えられません。
料金表に載る当院のエラ(リズトックス)は12,000円(税込)で、別途かかる医師の手技料8,800円(税込)を足した支払いの合計は20,800円(税込)です。
料金表の単価1単位300円(税込)で割ると、12,000円は40単位分、エラ倍量の24,000円(税込)は80単位分にあたります。
エラ倍量を選んだ場合の支払いは、手技料8,800円(税込)を足して32,800円(税込)です。
実際に打つ単位数と、量を足す場合の金額は、診察のあと施術の前にお伝えします。
エラ以外の部位も含めた金額の一覧は、ボトックス注射のメニューページと料金ページで見られます。
支払う金額が同じでも、内出血や腫れ、噛みにくさ、頬のこけ、笑顔の左右差といった副作用の出方は人によって違います。
リズトックスが国内で未承認であることと入手経路は、下の囲みで5つの項目に分けて説明しています。
診察では、歯を噛みしめてもらった状態と顎の力を抜いた状態で、医師が左右の咬筋に触れて厚みの差を見ます。
注射の位置は頬の下側に印をつけて決めます。
当日は、打った部分を強く押したりもんだりしないでください。
ご相談の窓口はメディカルアルファクリニック(大阪市中央区南船場4-5-8 ラスターオン心斎橋6F)で、電話050-1724-3463、診療時間は10:00〜19:00です。
自由診療に関するご案内
咬筋のボツリヌストキシン注射(リズトックス)は自由診療(保険適用外)です。
通常必要とされる施術内容・回数・期間:左右の咬筋の数か所へ1回注射します。
効き方と持続には製剤の違いと個人差があり、続ける場合は前回から3か月以上あけて、次の回を医師と相談します。
標準的な費用は、エラ(リズトックス)12,000円(税込)と、医師の手技料8,800円(税込)を合わせた20,800円(税込)です。
主なリスク・副作用は、内出血、腫れ、痛み、頭痛、噛みにくさ、顎の疲れ、頬のこけ・たるみ感、笑顔の左右差、アレルギー反応、まれに飲み込みにくさです。
お問い合わせ:お電話 050-1724-3463
リズトックスについて(未承認医薬品)
未承認医薬品であること:リズトックスは、日本の医薬品医療機器等法にもとづく承認を受けていない医薬品です。
入手経路:医師の責任のもと、必要な手続きを経て個人輸入したものを使用しています。
国内の承認医薬品等の有無:国内で承認されているA型ボツリヌス毒素製剤にはボトックスビスタがあり、対象は65歳未満の眉間・目尻の表情じわと咬筋膨隆です。食いしばりを対象とした承認製剤はありません。
諸外国での安全性等の情報:リズトックスは韓国で眉間のしわを対象に承認を受けている製剤で、咬筋や食いしばりを対象とした承認は当院が確認できた範囲ではありません。
ボツリヌストキシン製剤では一般に、注射部位の内出血や頭痛、噛みにくさ、薬剤の広がりによる脱力や飲み込みにくさなどの副作用が報告されています。
医薬品副作用被害救済制度:未承認医薬品のため、万一重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
保険・単位数・頻度・料金・副作用・歯科との違いについて、食いしばりボトックスの相談の場でよく聞かれる6つの問いに答えます。
食いしばりボトックスは保険が使えない自由診療で、単位数と料金は製剤ごとに違うため、製剤名と単位をそろえて医師に確かめることが出発点になります。
当院では、打つかどうかを決める前の質問だけのご相談も受け付けています。
年齢とともにエラの注射の考え方がどう変わるかは、エラボトックスと年齢の関係を解説した記事で読めます。
診察を担当する医師の経歴は、スタッフ紹介のページで確かめられます。
たるみやしわなど、顔のほかの悩みに当院が用意している施術は、トップページの施術一覧から部位ごとに探せます。
ご相談・ご予約はメディカルアルファクリニック(心斎橋)のLINEまたはWeb予約から
咬筋への承認用量、単位の換算、保険と医療費控除、未承認薬の扱いを確かめるために、本文で下敷きにした公的機関の資料を挙げます。