「膝が痛くてヒアルロン酸を打っているけれど、このままずっと続けて大丈夫?」
こうした疑問や不安をお持ちの方に向けて、ヒアルロン酸注射を続けるメリット・デメリットや、やめどきの目安を、わかりやすくご説明します。
ヒアルロン酸注射は、続けることで痛みを和らげられる一方で、効き方や膝の状態を定期的に見直すことが大切な治療です。
膝の関節の中には、関節液というサラサラした液体が入っていて、その主成分がヒアルロン酸です。
変形性膝関節症では、このヒアルロン酸を含む関節液が減ったり性質が変わったりすることで、痛みや動かしにくさが起こるとされています。
このヒアルロン酸が減ってしまうと、骨どうしがこすれやすくなり、痛みや炎症の原因になります。
ヒアルロン酸注射は、この「潤滑油」を追加するイメージの治療で、関節の滑りをよくして痛みを和らげることが目的です。
日常的なスポーツ、長時間の立ち仕事、ヒールでの歩行などが重なると、年齢に関わらず早い段階から膝の痛みが気になり始めることがあります。
ヒアルロン酸を入れることで、膝の中のクッション・潤滑作用が一時的にアップします。
その結果、曲げ伸ばしがスムーズになり、「立ち上がる時のズキッとする痛みがマシになった」と感じる方が多いです。
ヒアルロン酸注射は、入院や全身麻酔は不要で、外来(通院)だけで行える治療です。
仕事や家事を休みにくい世代にとって、「気になったタイミングで、必要な分だけ受けられる」という手軽さは大きなメリットです。
実際に外来でも、「仕事を休めないので、まずは注射で様子を見たい」「子育て中で手術の入院は難しい」という声をいただくことが多く、ライフスタイルに合わせて選びやすい治療と言えます。
当院でも、「まだ手術は早いと言われたけれど、何もしないのも不安」というご相談をいただくことが多く、その方の年齢や活動量に合わせて、ヒアルロン酸以外の選択肢も含めて一緒に検討しています。
ヒアルロン酸は時間がたつと体に吸収されていくため、効果はずっと続くわけではありません。
日本で一般的な使い方では、まず週1回の注射を3〜5回ほど続け、その後は2〜4週ごとに間隔をあけながら継続するケースが多いとされています。
効果の持続には個人差がありますが、多くの方で数週間ほど痛みの軽減が続くという報告があります。
人にもよりますが、数日〜数週間でだんだん元の状態に戻るため、痛みがある間は何度か繰り返して打つ必要があります。

| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 痛み | 痛みが軽くなり、動きやすくなる | 進行してくると効きが弱くなる |
| 生活への影響 | 仕事・家事・育児を続けやすい | 通院の時間が増える |
| 体への負担 | 手術に比べると負担が少ない | 針を刺すため、ごくまれに感染などのリスク |
| お財布事情 | 手術よりは費用が抑えられることが多い | 長期間続けるとトータルの負担が大きくなる |
| 根本改善 | 症状コントロールには有効 | 病気そのものを治すわけではない |
なお、ヒアルロン酸注射の効果や安全性については、海外・国内で多くの研究が行われています。
膝の変形性関節症に対するヒアルロン酸注射は、プラセボ(偽薬)と比べて一時的に痛みを和らげる効果があるものの、その程度は「小〜中等度」で、治療を重ねても長期的な症状の改善は限定的だとする報告もあります。
一方で、複数回コースを繰り返しても大きな安全性の問題は認められず、痛みのコントロール手段としては有用だと結論づけている研究もあります。
膝の変形や軟骨のすり減りが軽い段階では、ヒアルロン酸注射だけで「日常生活はほとんど問題ない」という状態をキープできる方もいます。
日本整形外科学会や医師会の資料でも、ヒアルロン酸注射は変形性膝関節症の治療として「有用である」と位置づけられており、とくに比較的早い段階での有効性が高い可能性が示されています。
レントゲンなどで大きな変形が見られない場合は、このような初期の段階に当てはまることが多いとされています。
こうした傾向は、変形性膝関節症が進行するとヒアルロン酸注射の効果が得られにくくなる、とする国内ガイドラインの記載とも一致しています。
一方で、膝の変形が進んで骨どうしが強くぶつかるようになると、ヒアルロン酸だけではカバーしきれなくなります。
「前は1カ月くらいラクだったのに、最近は数日しか持たない」「打ってもあまり変わらない」と感じ始めたら、膝の状態が進行しているサインかもしれません。
多くは数日でおさまりますが、「いつもと違う強い痛み」「膝が熱を持って腫れ上がる」などがある場合は、早めに受診が必要です。
「打ち続けたからといって必ずひどいことが起こる」というわけではありませんが、次のような点には注意が必要です。
基本的には、「〇回まで」といった絶対的な上限が決められているわけではありません。
ただし、回数だけでなく「効き方」「膝の状態」「年齢やライフスタイル」を見て、続けるべきかを判断します。
以下の項目は、患者さんにもわかりやすい「続ける/やめる」の目安になります。
膝のヒアルロン酸注射には、次のような良いポイントがあります。
一方で、気をつけておきたい点もあります。

こういったサインがある場合は、「なんとなく続ける」のではなく、レントゲンやMRIなどで膝の状態をしっかり確認したうえで、治療方針の見直しをおすすめします。

多くの方の場合、「いきなり手術」ではなく、まずは段階的にほかの治療法を組み合わせていくことが一般的です。
特に、太ももの筋力アップは膝の負担を減らす大事なポイントで、ヒアルロン酸と並行して行うと相乗効果が期待できます。
「ヒアルロン酸だけでは物足りない」「でも人工関節などの手術はまだ早い」と感じる場合、PRP療法や幹細胞治療といった再生医療が選択肢になることがあります。
自分の血液や脂肪などを使って炎症を抑えたり、膝の環境を整えることを目指す治療で、年齢や膝の状態によって適応が変わります。
日常生活がかなり制限されるほど痛みが強い、変形が進みすぎている、といった場合は、骨の向きを整える手術や人工膝関節置換術などが検討されます。
「もう少し若いうちにしっかり治しておきたい」というニーズがある場合も、メリット・デメリットを医師とよく相談しながら決めていきます。
最近、膝の痛みや違和感が出てくると、「このまま悪くなったらどうしよう」と不安になりますよね。
ヒアルロン酸注射は、そうした不安を少しでも和らげ、今の生活を続けるための一つの選択肢です。
ただし、「打ち続ければ必ず何とかなる」治療ではありません。
膝の状態や生活スタイルに合わせて、ヒアルロン酸を続けるのか、別の治療にステップアップするのかを、一緒に相談しながら決めていくことが大切です。

当院では、次のような点を大切にしながら治療方針をご提案しています。
「このままヒアルロン酸を打ち続けていていいのか不安」「自分に合った治療の選び方が知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、
日本美容外科学会(JSAS) 正会員、
日本産科婦人科学会 会員、
日本産科婦人科学会 専門医、
日本医師会認定産業医、
母体保護法指定医