防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、肥満症の治療に保険適用が認められている漢方薬です。
臨床試験では12週間の服用で体重が平均2.1kg減少、腹囲も3.3cm減少した報告があり、特に内臓脂肪型肥満で便秘がちな方に効果が期待できます。
ただし「飲むだけで痩せる」わけではなく、食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善があってこそ効果を発揮します。
防風通聖散は、体力が充実していて腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症に適応がある漢方薬です。
発汗や便通の促進、利尿作用により体内の不要な代謝物を排出することで、ダイエット効果をサポートします。
防風通聖散は18種類の生薬で構成されており、それぞれが相乗効果を発揮します。
主な構成生薬とその作用は以下の通りです。
| 麻黄(まおう) | エフェドリンを含み、交感神経を刺激して脂肪分解を促進 |
|---|---|
| 大黄(だいおう) | 便通を促進し、体内の老廃物を排出 |
| 黄芩(おうごん) | 炎症を抑え、利尿作用によりむくみを改善 |
| 防風(ぼうふう) | 発汗を促し、体を温めて代謝を活性化 |
| 甘草(かんぞう) | 他の生薬の作用を調和させ、胃腸を保護 |
| 芒硝(ぼうしょう) | 塩類下剤として便通を改善 |

基礎研究により、防風通聖散は褐色脂肪組織の熱産生を亢進させ、代謝を活性化させることで体重減少につながることが明らかになっています。
具体的には、麻黄に含まれるエフェドリンが交感神経終末からのノルエピネフリン分泌を促進し、白色脂肪細胞の脂肪分解や褐色脂肪細胞の熱産生を引き起こします。
また、防風通聖散には余分な脂質を便と一緒に排出する効果も報告されています。
臨床試験や研究報告に基づく、防風通聖散の具体的な効果は以下の通りです。
| 効果 | 詳細 |
|---|---|
| 体重減少 | 12週間で平均2.1kg減少 |
| 腹囲減少 | 12週間で平均3.3cm減少、特にウエストサイズが顕著に減少 |
| 内臓脂肪減少 | 24週間で内臓脂肪面積が93.2±13.0cm²減少 |
| 基礎代謝向上 | 安静時エネルギー代謝の脂質利用率を高める |
| 便秘改善 | 便通を促進し、体内の毒素を排出 |
| 水分代謝改善 | 利尿作用により余分な水分を排出、むくみを軽減 |
防風通聖散の効果には個人差が大きく、体質や生活習慣に依存します。
「実証」タイプ(体力があり、便秘がちで、お腹に脂肪がつきやすい)の方に適しており、体力が低下している「虚証」タイプの方には適しません。
効果を実感するには一定期間の継続が必要で、バランスの良い食事と適度な運動を組み合わせることが重要です。
防風通聖散の効果を最大限に引き出すには、適切な服用タイミングと用量を守ることが重要です。
| 服用タイミング | 食前または食間(食後2~3時間後) |
|---|---|
| 服用回数 | 1日2~3回 |
| 1回の用量 | 成人の場合、1日合計7.5gを2~3回に分割 |
| 服用方法 | 水またはぬるま湯で服用 |
食前に服用することで、有効成分が効率よく吸収され、体内に蓄積された脂肪の分解・燃焼が促進されます。
また、便通促進作用により、食事で取り込んだ脂質を便と一緒に排出する効果も期待できます。
さらに、食前服用により満腹感が得られやすくなり、食事の量を自然に抑える効果も期待できます。
市販されている防風通聖散は、メーカーによって配合量や形状が異なります。
| メーカー | 配合量 | 剤型 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用) | 満量処方(4500mg) | 顆粒 | 医療用として厳格な品質管理、医師の処方が必要 |
| クラシエ防風通聖散 | 製品により異なる | 顆粒・錠剤 | 胃腸への負担を軽減する処方、リーズナブルな価格設定 |
| 新・ロート防風通聖散錠満量 | 満量処方(5000mg) | 錠剤 | 美容面での効果も期待、満量処方で効果的 |
| 生漢煎 防風通聖散 | 満量処方(4500mg) | 顆粒 | 市販品として高配合、個別包装で持ち運びやすい |
| 配合量を確認 | 満量処方(医療用と同等の成分量)の製品を選ぶと効果的です |
|---|---|
| 剤型の選択 | 顆粒タイプは吸収が早く即効性が期待できますが、錠剤タイプは飲みやすく続けやすいです |
| 価格と継続性 | 長期間の使用が前提のため、予算内で続けやすい製品を選びましょう |
| 体質との相性 | 胃腸が弱い方は、胃腸への配慮がなされたクラシエやロート製薬の製品が適しています |
市販の防風通聖散を選ぶ際は、以下のポイントを考慮しましょう。
| 顆粒タイプ | 水に溶かして飲むため吸収が早く、効果を実感しやすい。個別包装で持ち運びやすい |
|---|---|
| 錠剤タイプ | 飲みやすく、外出先でも服用しやすい。漢方特有の味が苦手な方に適している |
| 粉末タイプ | 濃さを調整できるため、初めて漢方薬を試す方にも適している |
防風通聖散は漢方薬ですが、使用には注意が必要です。
適切な用量と飲み方を守り、副作用が現れた場合はすぐに使用を中止して専門家に相談してください。
| 症状分類 | 具体的な症状 |
|---|---|
| 消化器系 | 腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃の不快感、腹部の張り |
| 皮膚症状 | 発疹、発赤、かゆみ |
| 精神神経系 | めまい、頭痛 |
| その他 | 動悸、むくみ、発汗 |
| 適切な用量を守る | 過剰摂取は副作用のリスクを高めます |
|---|---|
| 体質を確認する | 体力が低下している方、胃腸が弱い方は使用を避けるか医師に相談してください |
| 水分補給を十分に | 利尿作用があるため、こまめに水分を補給しましょう |
| 定期的な健康チェック | 長期使用する場合は、定期的に血液検査や肝機能検査を受けることをお勧めします |
| 異変を感じたらすぐに中止 | 下痢、腹痛、発疹などの症状が現れたら、すぐに服用を中止し医師に相談してください |
防風通聖散には併用禁忌となる医薬品はありません。ただし、以下の薬との併用には注意が必要です。
防風通聖散とコッコアポなど他のダイエット漢方を併用すると、成分が重複し副作用が出やすくなる可能性があります。併用を検討する場合は、必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。
以下に該当する方は、防風通聖散の使用を避けるべきです。
| 該当者 | 理由 |
|---|---|
| 体力が著しく低下している人 | 体力を消耗させる成分が含まれているため、さらに体力が奪われる可能性がある |
| 妊娠中・授乳中の女性 | 胎児や乳児に悪影響を与える可能性がある |
| 高血圧、心臓病、腎臓病の既往がある人 | 麻黄の作用により血圧上昇や心拍数増加のリスクがある |
| 汗をかきやすい人 | 発汗作用により脱水症状を引き起こす可能性がある |
| 下痢しやすい人 | 便通促進作用により症状が悪化する可能性がある |
| 虚証タイプ(体力がなく、冷えがある)の人 | 防風通聖散は実証タイプ向けの処方のため効果が期待できない |
防風通聖散は単独では十分な効果を発揮しません。生活習慣の改善と併用することで、初めて効果が現れます。
| 十分な睡眠 | 毎晩7~8時間の質の良い睡眠を確保しましょう。睡眠不足は食欲増進ホルモンのバランスを乱し、過食につながります |
|---|---|
| 規則正しい生活 | 1日3食を規則正しく摂り、夕食は寝る2~3時間前までに済ませましょう |
| 適度な運動 | 週に3~5回、無理のない範囲で有酸素運動や筋トレを取り入れましょう |
| 水分補給 | 1日2リットルを目安に、無糖のお茶や水を飲みましょう |
| 項目 | 推奨内容 |
|---|---|
| カロリー管理 | 1日1200~1400kcal程度を目安に |
| 栄養バランス | 野菜や果物を多く摂り、ビタミンやミネラルをバランスよく取り入れる |
| タンパク質 | 魚、鶏肉、豆類などの良質なタンパク質をしっかり摂取し、筋肉量を保つ |
| 脂質・糖質 | 過剰な摂取を控え、適量を心がける |
| 食事回数 | 1日3食を規則正しく摂り、食事を抜かない |
防風通聖散は、肥満症の治療に保険適用が認められている漢方薬で、臨床試験でも体重減少や腹囲減少の効果が確認されています。
ただし、「飲むだけで痩せる」薬ではなく、食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善があってこそ効果を発揮します。
効果を最大限に引き出すには、適切な服用タイミング(食前または食間)と用量を守り、自分の体質(実証タイプか虚証タイプか)を理解することが重要です。
また、副作用や他の薬との飲み合わせにも注意し、体調に異変を感じたらすぐに使用を中止して専門家に相談してください。
防風通聖散は単なるダイエット薬ではなく、漢方の知恵を活かして体全体を健康に導くためのサポートツールです。
無理のない範囲で継続的に使用し、健康的な生活習慣を維持することで、理想的な体型を手に入れることができるでしょう。
2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、
日本美容外科学会(JSAS) 正会員、
日本産科婦人科学会 会員、
日本産科婦人科学会 専門医、
日本医師会認定産業医、
母体保護法指定医