高濃度ビタミンC点滴は危険!?見込める効果やリスク・副作用についてまとめて解説

2023.4.25
美容コラム

化粧品やサプリなど肌のためにいろいろと努力しているのに、結果が伴わないという人もいるのではないでしょうか?

「肌の状態を改善させるためには体の中から」とよく言われますが、毎日忙しく動いていると肌にかける時間が短いというのも現実的な悩みですよね。

そんな方には高濃度ビタミンC点滴がおすすめです。
高濃度ビタミンC点滴は、大量のビタミンCを体内に取り入れ、体の内側から肌の状態を改善してくれる点滴療法です。
食事やサプリの数十倍のビタミンCを摂取できますが、注意すべき点もあります。

今回は、高濃度ビタミンC点滴で見込める効果や施術を受けることが危険な方、リスク・副作用などについて紹介します。

高濃度ビタミンC点滴とは

高濃度ビタミンC点滴とは、サプリや化粧品、食事などで摂取できる数十倍のビタミンCを体内に取り込むことができる点滴療法です。
点滴で大量のビタミンCを摂取することにより、ビタミンCの血中濃度が上がりシミやニキビといった肌トラブルを改善へと導きます。

点滴によるビタミンCの血中濃度はサプリを飲んだ時と比べて約20〜50倍と言われています。
一回の点滴でレモン1200個分のビタミンCが摂取できることから、免疫力の向上やがん予防、風邪などの感染症といった様々な疾患への効果も期待できます。

また、一般的なビタミンC製剤は品質を維持するために防腐剤が含まれていますが、マイラン社製は防腐剤不使用のため、安全性を考えるならマイラン社制の高濃度ビタミンC点滴が受けられるクリニックを選ぶことをおすすめします。

医療機関で高濃度ビタミンC点滴が開始されたのは21世紀に入ってからですが、ビタミンC自体が医療現場で利用されるようになったのは、18世紀が起源とされています。
1747年、柑橘系や果物に含まれる成分が壊血病に有効であることが発見された後、20世紀に入るとイギリスの生科学者が柑橘系の果物の中から壊血病を予防する成分抽出を成功させました。この成分こそが現在「ビタミンC」と呼ばれている成分です。

その後、ビタミンCについての様々な医学研究が行われ、高濃度ビタミンC点滴はがん治療だけでなく、健康や美容にとっても優れた効果が期待できる治療法だと認知されるようになりました。

日本では2000年代後半から美容医療のメニューとして提供されるようになりましたが、現在でも高濃度ビタミンC点滴について研究や臨床試験が行われています。
今後の研究結果にも注目してみましょう。

高濃度ビタミンC点滴で見込める効果

ビタミンCは抗酸化作用が強いため、様々な疾患や健康、美容をサポートすることに期待が持てる成分です。
高濃度ビタミンC点滴によって見込まれる「美容的な効果」と「健康的な効果」について紹介します。

高濃度ビタミンC点滴で期待できる美容効果

まずは、美容の面で見込まれる効果効果についてです。高濃度ビタミンC点滴によって効果が期待できる美容は以下の通りです。

  • シミ、くすみの改善
  • しわ、たるみの改善
  • ニキビ、毛穴の改善
  • 保湿作用

シミができる主な原因は皮膚内に残ったメラニンであると言われています。
メラニンは通常肌のターンオーバーによって体外へと排出されますが、ターンオーバーが乱れてしまうと排出がうまくできず皮膚内に蓄積される状態になります。

ビタミンCはメラニンを作る色素(チロシナーゼ)を阻害し、メラニンの生成を抑えてくれる役割があります。
メラニンの生成を抑えることでメラニンが増えにくくなり、シミを改善へと導いてくれるでしょう。

ビタミンCは抗酸化作用によって繊維芽細胞の働きを高め、肌内部にあるコラーゲンやエラスチンの生成を促進させる働きもあります。
この作用によってたるんだ皮膚を内側から持ち上げ、ハリのある肌へと導く効果が期待できます。

ビタミンCはニキビ菌の餌となる皮脂の過剰分泌を抑える作用によって、ニキビや毛穴の改善にも効果が見込めます。
また、セラミドの生成を促す働きによって肌の保水力を上げ、保湿効果への期待もできます。

高濃度ビタミンC点滴で期待できる健康面での効果

続いては、高濃度ビタミンC点滴によって健康面で効果・改善が期待できることについて説明します。
健康面での効果は以下の通りです。

  • ストレスの改善
  • 疲労、免疫力の改善
  • 血行改善
  • 抗ガン治療
  • アレルギー症状の改善
  • 歯周病予防
  • 生活習慣病の予防

ビタミンCを摂取することでストレス軽減への効果が期待できます。
ビタミンCがストレス軽減に作用するのは「副腎皮膚ホルモン」を増やすからです。
副腎皮膚ホルモンは、ストレスに抵抗するための言わば体を守る防御壁のようなものです。
ストレスを感じるとビタミンCが大量に消費されてしまうので、普段からストレスを感じることが多い人は、ビタミンC摂取を心がけましょう。

ビタミンCは活性酸素を抑える働きがあります。
活性酸素が増えると細胞の老化や慢性疲労を促進させてしまう原因となるため、疲れやすくなったり、免疫力が落ちた状態になってしまったりするため、体にとって良いことがありません。

ビタミンCの摂取によって活性酸素を抑えれば疲労軽減につながります。
また、白血球の機能を強化してくれることからウイルスや病原菌を抑制し免疫力改善へも期待できるでしょう。

ビタミンCを摂取することで鉄分やミネラルの吸収力が上がると言われています。
鉄分は全身に酸素を運ぶ役目があり、脳を含む全身に血液が運ばれることで思考力や運動能力が向上します。

高濃度ビタミンC点滴によって、体内に大量のビタミンCを取り込むことにより、がん細胞の発生を抑える予防薬としても効果が期待できます。
ビタミンCは抗ガン作用のある「インターフェロン」の生成を促進させたり、胃がんの原因となる「ニトロソアミン」の生成を抑えたりします。

これらの効果は血液中のビタミンC濃度が300mg/dl以上にする必要があるため、大量のビタミンCを摂取できる高濃度ビタミンC点滴であれば、がん治療への効果も期待が高まります。

ビタミンCは、免疫力を正常に戻す抗ヒスタミン作用があるので、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状改善にも効果が期待できます。
歯周病菌を生成する酪酸が歯周細胞内に侵入すると活性酸素が大量に発生してしまいます。
ビタミンCは強力な抗酸化作用で活性酸素を取り除いてくれるので、歯周病予防が期待できます。

血中コレステロールが増えると動脈硬化が起きやすくなります。
動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしてしまう原因となるため、血中コレステロール値を下げなければなりません。
ビタミンCは、過酸化脂質の生成を抑えて血中コレステロール値を下げる働きを持ちます。

また、過剰なコレステロールを胆汁酸に変えて体外に排出する作用があることから血糖値の改善にも効果が期待できます。

高濃度ビタミンC点滴を受けることが危険な方(禁忌)

高濃度ビタミンC点滴は全ての方が受けられるわけではありません。
中には、受けることが危険となる方もいます。高濃度ビタミンC点滴を受けることが危険な方は以下の通りです。

  • 心不全の方
  • 腎不全の方
  • 胸水、腹水がある方
  • G6PD欠損症の方

心不全は心臓の働きが正常時に比べて弱くなり、きちんと動かなくなってしまう疾患です。
心臓の機能が弱まってしまうと十分な血液を体中に送り出すことができなくなるとともに、必要な酸素や栄養も不足してしまいます。
結果、体が疲れやすくなったり、息切れが起きたりします。

また、腎臓に送られる血液の量が減ることで尿の排出量も減ってしまいます。
尿の排泄量が減ると体内に余分な水分が残り、むくみや体重が増えるなどの症状を引き起こします。
高濃度ビタミンC点滴は、ビタミンCの濃度が高く大量のビタミンCを体内に取り入れる治療法のため心臓へ負担をかけてしまう可能性が高いです。
そのため、心不全の方は高濃度ビタミンC点滴は控えた方が良いでしょう。

腎不全は、腎臓の機能が低下する疾患です。
腎臓は血液を綺麗にするとともに、体内の老廃物を取り除いて尿を作る役割を果たします。
腎臓の機能が低下すると老廃物を排除できなくなったり、不要な水分が体内に留まったままの状態になったりして様々な疾患を引き起こす原因になります。

腎不全が進行すると最終的には人工透析や腎移植が必要になってしまうこともあるため注意しなければなりません。
腎不全や人工透析をしている方は、高濃度ビタミンC点滴を受けることで腎臓に負担をかけ、さらに腎機能が低下してしまう恐れもあるため、避けた方が良いです。

胸水は肺を包む2層の胸膜の間に液体が溜まった状態で、腹水は腹腔に通常よりも水が溜まっている状態のことを指します。
大量に胸水が溜まると肺の機能が低下して息苦しさなどを引き起こします。

腹水が大量に溜まると胃が圧迫され、吐き気や食欲不振といった症状を引き起こします。
高濃度ビタミンC点滴の水分負荷によって体内の胸水や腹水がより悪化してしまうリスクもあるため、胸水や腹水が大量にある方は、治療を断念した方が良いです。

G6PD欠損症の方については本文の後半で詳しく触れさせていただきます。

高濃度ビタミンCのリスク・副作用

高濃度ビタミンC点滴は基本的に重篤なリスクがないと言われていますが、点滴を受けている最中や術後に副作用が出ることがあります。
個人差はありますが、考えられる副作用には以下のようなものがあります。

  • 血管痛
  • 吐き気、頭痛
  • 喉の渇き
  • ふらつき、倦怠感
  • 内出血
  • 尿管結石
  • 眠くなる
  • 低カルシウム血症

点滴の針を刺す際に局所的に痛みを感じることがあります。点滴を受けている最中に痛みが強くなってしまった場合は、点滴を落とす速度を遅くして局所を温めるなどの措置をしてもらえるので、我慢せずに医師や看護師に伝えましょう。

点滴の速度が速い場合や空腹時、脱水状態で治療を受けることにより、吐き気や頭痛を伴うことがあります。
この場合は、飲水と点滴の速度を遅くするなどの対応をしてくれます。

高濃度ビタミンC点滴には利尿作用があります。排出される尿の量が多いと喉が渇きやすくなるので、持参しておくとよいでしょう。

人によっては、術後にふらつきや倦怠感を感じることがあります。
少し時間安静にしていれば自然と回復するので、回復してから帰宅するようにしましょう。
点滴中に内出血と強い痛みを感じることがあります。点滴を中止することで症状を落ち着かせることができます。

ビタミンCを過剰に摂取すると尿管結石になりやすいと言われています。
高濃度ビタミンC点滴で起きることは稀ではありますが、元々尿管結石を患ったことがあるという方は注意しましょう。

ビタミンCの抗ヒスタミン作用によって眠くなってしまうことがあります。
一時的な状態である可能性は高いですが、帰宅時の車の運転は安全面から避けた方がよいでしょう。

ビタミンCはカルシウムを排出するという働きがあるため、低カルシウム血症を引き起こしてしまうことがあります。
低カルシウム血症になると筋肉のけいれんや手足の感覚障害などの症状が現れます。
マグネシウムを点滴内に加える処置をしてもらえますが、重症の場合はカルシウムの注射を打ってもらうことで症状が改善されることが多いです。

G6PD検査について

G6PD検査とは、安全に高濃度ビタミンC点滴を行うために実施される血液検査です。
人の体にはG6PD(グルコース6リン酸脱水素酸素欠損症)という酵素があり、この酵素が低下している方に高濃度ビタミンC点滴を施すと急性溶血性貧血発作を起こす危険性があります。これらの症状を「G6PD欠損症」と言います。

すでに発症している方は重症の貧血や肝機能障害へと繋がってしまう恐れがあるため、重篤な問題へと発展しないよう高濃度ビタミンC点滴療法を初めて受ける方には必ず実施されます。採血検査の実施時間は1分ほどで、その後30分ほどで結果が出ます。

結果によっては治療を見合わせたり、さらに詳しい検査をおすすめするクリニックもあります。
また、他院でG6PD検査をしてG6PDの値を確認できる検査結果を持参すれば、G6PD検査をパスすることができるクリニックもあります。

G6PD欠損症の割合は日本人で0.01%と言われていますが、安心して施術を受けるためにも、G6PD検査は欠かせません。

まとめ

高濃度ビタミンC点滴は、大量のビタミンCを体内に取り入れることによって、肌の状態を改善へと導いてくれる効果が期待できる点滴療法です。
ビタミンCは体内で生成することができず、食事やサプリで摂取していても吸収されなかった分は尿として排泄されます。

シミやしわが気になる、最近肌がたるんできた気がする、毛穴をどうにかしたい、という人は高濃度ビタミンC点滴を検討してみましょう。
高濃度ビタミンC点滴は注意事項を理解して受ければ、安全性の高い点滴療法です。

また、点滴療法には疲労回復や疾患改善、代謝アップを促してくれるなど豊富なメニューがあります。
どんな治療法が自分に向いているのか、分からない場合は医師に相談してみることをおすすめします。

高濃度ビタミンC点滴に興味を持たれた方は、ぜひメディカルアルファクリニックにお問い合わせください。
カウンセリングで詳しくご説明させていただきます。

この記事の監修
髙木 希奈

一般社団法人予防医療研究会 理事長
聖マリアンナ医科大学卒業
精神保健指定医、精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医
「Bell Clinic 松濤」 特別顧問
医療提携エステ「銀座メディック」顧問
著書に「あなたの周りの身近な狂気」(セブン&アイ出版)「間取りの恋愛心理学」(三五館)など。

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