ジャディアンス錠は、2型糖尿病や慢性心不全、慢性腎臓病の治療に用いられる薬です。
血糖値を下げる作用に加え、心臓や腎臓を保護する効果も認められています。
ここでは、ジャディアンスの具体的な効果や作用の仕組み、注意すべき副作用について詳しく解説します。
安全に治療を続けるために、薬の特性を正しく理解し、腎機能への影響などの注意点も把握しておくことが大切です。
ジャディアンスとは、有効成分をエンパグリフロジンとするSGLT2阻害薬に分類される医薬品です。
この薬剤は、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社が製造販売しています。
SGLT2阻害薬の作用機序は、腎臓の尿細管という場所で糖分が血液中に再吸収されるのを防ぐことです。
具体的には、SGLT2というタンパク質の働きを阻害し、余分な糖を尿と一緒に体外へ排出させます。
これにより血糖値が下がるという薬効を示します。
より詳しい情報は、くすりのしおりや医薬品情報を掲載したwebサイトでも確認できますが、わかりやすく言うとおしっこと一緒に糖を出す薬と理解すると良いでしょう。

ジャディアンスは、複数の臨床試験によってその有効性が確認されており、主に3つの目的で処方される特徴的な薬です。
単に血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓といった重要な臓器を保護するメリットが大きな特徴です。
この薬が持つ主な効き目として、血糖コントロールの改善、慢性心不全の進行抑制、そして慢性腎臓病の悪化防止が挙げられます。
それぞれの効果について、以下で詳しく見ていきましょう。
ジャディアンスの最も基本的な効果は、2型糖尿病患者の血糖値を下げる作用です。
この薬は、血液中の過剰な糖を尿中に排出させることで血糖値を改善します。
この血糖降下作用は、インスリンの分泌に直接影響を与えないため、単独で使用した場合に低血糖を引き起こすリスクが低いという利点があります。
そのため、多くの糖尿病薬の中でも比較的安全に使用できるとされています。
なお、ジャディアンスは主に2型糖尿病の治療に用いられますが、特定の条件下で一部の1型糖尿病患者に対しても、インスリン治療との併用で処方されることがあります。
ジャディアンスは、血糖値を下げる効果とは別に、慢性心不全の進行を抑え、生命予後を改善する作用があることが臨床試験で証明されています。
この心臓への保護効果は、糖尿病の有無にかかわらず認められています。
作用のメカニズムとしては、体内の余分な塩分(ナトリウム)と水分を尿として排出することで体液量を減らし、心臓への負担を軽減することが挙げられます。
これにより、心不全による入院のリスクや、心血管系の原因による死亡リスクを低下させる効果が期待できます。
ジャディアンスには、慢性腎臓病(CKD)の進行を抑制し、腎機能を保護する作用もあります。
この効果も糖尿病の有無に関わらず認められており、慢性腎臓病治療の新たな選択肢として適応が拡大されました。
ジャディアンスは、腎臓の糸球体というフィルター部分にかかる圧力を下げることで、腎臓への負担を軽減します。
これにより、腎機能の指標であるeGFR(推算糸球体濾過量)の低下速度を緩やかにし、尿蛋白を減少させるなど、腎臓の悪化を防ぐ効果が期待されます。
クレアチニン値の改善にもつながる可能性があります。
ジャディアンスの作用により、尿中に糖が排出されることで、エネルギーとして吸収されるはずだったカロリーが体外へ出ていきます。
1日に排出される糖の量は約60~100gで、カロリーに換算すると約240~400kcalに相当します。
このため、副次的な効果として体重減少が期待でき、ダイエット目的での使用に関心が集まっています。
ただし、この効果はあくまで緩やかなものであり、肥満症の治療を主目的とした医薬品ではありません。
より効果的な減量を目指すには、適切な食事管理や運動を組み合わせることが重要です。
医薬品には効果がある一方で、副作用のリスクも伴います。
ジャディアンスも例外ではなく、服用前にその内容を理解しておくことが重要です。
添付文書や医薬品リスク管理計画では、いくつかの潜在的リスクが指摘されています。
主な副作用としては、脱水症状、感染症、低血糖などが挙げられます。
倦怠感や吐き気、食欲不振といった体調の変化を感じた場合は、自己判断で服用を中止せず、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
血圧低下や、まれに報告されることもあります。
ジャディアンスは、尿中に糖と水分を排出する強い利尿作用があるため、頻尿や多尿といった副作用が比較的多く見られます。
尿量が増加することから、体内の水分量が減少し、口の渇きを感じやすくなります。
特に高齢の方や、他の利尿剤を併用している場合は脱水症状に陥りやすいため注意が必要です。
夏場や運動で汗を多くかく際は、意識的に水やお茶などでこまめな水分補給を心がけてください。
夜間頻尿を避けるため、就寝前の水分摂取量には配慮が必要です。
ジャディアンスを服用すると、尿中の糖濃度が高くなるため、細菌が繁殖しやすくなります。
これにより、膀胱炎などの尿路感染症や、カンジダ症などの性器感染症のリスクが上がることが知られています。
特に女性は尿路感染症になりやすいため注意が必要です。
主な症状は、排尿時の痛み、残尿感、陰部のかゆみなどです。
男性では亀頭包皮炎が起こることもあります。
予防のためには、陰部を清潔に保つことが大切です。
気になる症状が現れた場合は、早めに医師に相談しましょう。
ジャディアンスはインスリン分泌に直接作用しないため、単独使用では低血糖を起こすリスクは低いとされています。
他の血糖降下薬(特にSU薬やインスリン製剤)と併用する場合は、低血糖のリスクが高まるため注意が必要です。
低血糖の初期症状として、強い空腹感、冷や汗、手足の震え、めまい、立ちくらみなどが現れます。
これらの症状を感じた場合は、速やかにブドウ糖や糖分を含むジュースなどを摂取してください。
車や機械の運転中に低血糖が起こると危険なため、特に注意が求められます。
頻度は非常に低いものの、ジャディアンスの服用中に注意すべき重大な副作用としてケトアシドーシスがあります。
これは、体内のインスリン作用が不足し、脂肪の分解が進むことで血液中にケトン体という酸性物質が増え、血液が酸性に傾く危険な状態です。
吐き気、嘔吐、腹痛、深い呼吸、意識がもうろうとするなどの症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
血糖値が正常範囲でも起こる「正常血糖ケトアシドーシス」にも注意が必要です。
ジャディアンスの効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、医師から指示された用法・用量を正しく守ることが極めて重要です。
この飲み薬には、ジャディアンス錠10mgと25mgの2種類があり、患者の状態に応じて処方される量や強さが異なります。
自己判断で量を変えたり中止したりせず、指示通りに服用を続けてください。
ここでは、基本的な使い方について解説します。
ジャディアンスは、1日1回1錠を服用します。
食事の影響を受けにくいため、食前・食後のいずれのタイミングで飲んでも効果に大きな差はありません。
しかし、尿量を増やす作用があるため、夜間の頻尿を避ける目的で朝に服用することが一般的に推奨されています。
また、毎日決まった時間に飲むことで飲み忘れを防ぎやすくなります。
生活リズムに合わせて、ご自身が最も忘れにくいタイミングで服用を習慣づけることが大切です。
ジャディアンスを飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点ですぐに1回分を服用してください。
ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飲まずに、次の服用時間に1回分だけを飲みましょう。
忘れたからといって、絶対に2回分を一度にまとめて飲んではいけません。
過剰な作用が出てしまい、副作用のリスクが高まる可能性があります。
判断に迷った場合は、医師や薬剤師に相談してください。
ジャディアンスを安全に服用するためには、いくつかの注意点を守る必要があります。
特に脱水や感染症には日頃から気をつける必要がありますが、それ以外にも知っておくべきことがあります。
例えば、手術前には一時的に服用を中止することが求められます。
また、飲酒は脱水やケトアシドーシスのリスクを高めるため、過度な摂取は避けるべきです。
安易な通販や個人輸入による入手は、偽物のリスクもあり非常に危険なため、必ず医療機関で処方を受けてください。
ジャディアンスは優れた薬効を持つ反面、健康状態によっては使用を控える必要があります。以下に該当する方は、原則として服用ができません。
これらはインスリン注射による速やかな血糖管理が必要な状態であるため、本剤の使用は適しません。また、重い腎機能障害や肝機能障害がある方、妊娠中の方、高齢者などは投与の可否を慎重に判断する必要があります。服用を検討する際は、必ず医師へ自身の既往歴や健康状態を正確に伝えてください。
ジャディアンスには併用してはいけない「併用禁忌」の薬はありませんが、飲み合わせによって副作用のリスクが高まる注意が必要な薬が存在します。服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師へ共有してください。
注意が必要な主な薬剤は以下の通りです。
| 薬剤区分 | 注意が必要な理由 |
|---|---|
| 他の糖尿病治療薬 | 血糖値が下がりすぎることによる低血糖のリスク |
| 利尿薬 | 尿量が増えすぎることによる過度な脱水 |
| SGLT2阻害薬(同系統) | フォシーガ等との併用は過剰投与となるため原則不可 |
メトホルミンなどの他の糖尿病薬との併用は一般的ですが、医師による適切な用量調整が不可欠です。
ここでは、ジャディアンスに関して患者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
治療を始めるにあたっての疑問や不安の解消にお役立てください。
血糖値を下げる効果は、服用を開始してから比較的早く現れます。
しかし、心不全や腎臓病の進行を抑えるといった臓器保護の効き目は、数ヶ月から年単位の長期的な服用によって発揮されるものです。
体重減少効果も急激ではなく、緩やかに現れるのが一般的です。
ジャディアンスは腎臓で糖が再吸収されるのを抑え、余分な糖をナトリウムや水分と一緒に尿として排出させます。
これにより、1日あたり約200~400kcalのエネルギーが体外に放出されるため、結果として体重減少につながります。
ただし、効果には個人差があります。
絶対に自己判断で服用を中止しないでください。
血糖値のコントロールが急に悪化したり、心不全や腎臓病の状態が不安定になったりする危険性があります。
服用の中止や変更を希望する場合は、必ず処方した医師に相談することが重要です。
ジャディアンスは、2型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病に対して有効な治療薬です。
血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓を保護する重要な作用を持ちます。
一方で、脱水や感染症、低血糖などの副作用も存在するため、医師の指示に従って正しく服用することが不可欠です。
また、ダイエット目的での使用は自由診療となり、専門的な知識を持つ医師の管理下で行う必要があります。
不明な点や不安なことがあれば、必ず医師や薬剤師に相談してください。
2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、
日本美容外科学会(JSAS) 正会員、
日本産科婦人科学会 会員、
日本産科婦人科学会 専門医、
日本医師会認定産業医、
母体保護法指定医