食いしばりボトックスで後悔?エラへの失敗例と美容外科での対策

投稿日:2026.5.12
美容コラム

食いしばりボトックスとは?仕組みと小顔効果

食いしばりボトックス(エラボトックス)は、咬筋(こうきん)や側頭筋にボツリヌス毒素を注射し、筋肉の働きを一時的に弱める治療です。

筋肉の緊張を和らげることで、歯ぎしり・顎の痛みの軽減と、エラの張りを抑える小顔効果の両方をねらうことができます。

  • メスを使わない注射のみの治療
  • ダウンタイムが比較的短く、日常生活に戻りやすい
  • 表情を大きく変えずにフェイスラインをすっきりさせやすい

睡眠時ブラキシズム(寝ている間の歯ぎしり・食いしばり)に対し、咬筋へのボツリヌストキシン注射は有効性を示したランダム化比較試験やシステマティックレビューが複数報告されています。


効果が出るまでの期間と持続

効果の出始め 数日〜2週間
フェイスラインの変化がはっきり 4〜8週間頃
効果の持続 おおよそ3〜6か月(個人差あり)

筋肉は時間とともに徐々に元の働きに戻っていくため、効果を維持したい場合は、数か月ごとの継続治療が必要になります。

初回から3か月ごとに2〜3回続けると、筋肉が過度に発達しにくくなり、自然なフェイスラインを保ちやすいとされています。

ボツリヌス毒素の作用と食いしばり改善メカニズム

神経と筋肉への作用

ボトックスの主成分であるボツリヌス毒素A型は、神経終末から放出されるアセチルコリンをブロックし、筋肉への神経伝達を一時的に抑えます。

その結果、咬筋や側頭筋の過剰な収縮が弱まり、食いしばりによる痛みやこわばりが軽減されます。

  • 咬筋の過緊張が抑えられる
  • 顎関節・周囲筋への負担軽減
  • 歯の摩耗や欠けのリスク低下に寄与

睡眠時ブラキシズムに対するランダム化比較試験やメタ解析では、ボツリヌストキシン注射により咬筋の筋電図活動が有意に低下し、主観的な症状も改善したと報告されています。

小顔効果との関係

エラの張りの主な原因が「咬筋の発達」である場合、筋肉がリラックスしボリュームが少しずつ減ることで、下顔面の幅が細く見えるようになります。

いくつかの研究では、投与約12週間後に下顔面幅の縮小が最大になり、その後徐々に戻ると報告されています。

ただし、脂肪量や骨格の影響が大きい場合、「思ったほど小さくならない」ケースもあります。

そのため、カウンセリング時に「骨格・脂肪・筋肉」のどこが原因なのかを診断してもらうことが重要です。

食いしばりボトックスで後悔しやすいケース

食いしばりボトックスは有効性・安全性が報告されている一方で、実際には次のような「後悔エピソード」も少なくありません。

  • 顔がこけた・老けて見える
  • フェイスラインのたるみが気になる
  • 笑顔の違和感や左右差
  • 噛みにくさ・咀嚼の疲れ

多くは「注入量や注入位置のバランスが適切でなかった」「年齢や皮膚の状態を十分に考慮していなかった」など、デザインと技術の問題が関与します。

顔がこける・たるみが出る

特に40代以降では、もともと皮膚のハリや支持力が低下しているため、咬筋を急激に萎縮させると、頬がこけた・フェイスラインがたるんだと感じやすくなります。

対策のポイントは次のとおりです。

  • 「最大限細く」ではなく「自然にすっきり」を目標にする
  • 初回は控えめの単位からスタートし、様子を見ながら増減する
  • たるみが強い場合は、ハイフ(HIFU)や糸リフトなどのリフトアップ治療を併用検討

表情の違和感・左右差

ボツリヌス毒素は周囲の筋肉にも拡散するため、注入位置や深さが不適切だと、笑顔が引きつる・片側だけ細くなるといった左右差が出ることがあります。

  • リスリウス筋など表情筋に広がると、笑った時の口角の動きに影響が出ることがある
  • 多くの場合、薬剤効果の減弱とともに3〜6か月かけて自然に改善していきます。

事前に「笑った時・話した時」の動きを確認しながらデザインする医師を選ぶことが重要です。

咀嚼力の低下・噛みにくさ

ボトックスは噛む筋肉に作用するため、治療後しばらく「硬いものが噛みにくい」「顎が疲れやすい」と感じる方もいます。

一般に、咀嚼機能の低下は2〜4週間でピークとなり、8〜12週間ほどで徐々に改善すると報告されています。

過量投与では、食生活に支障が出るほど噛みにくくなるケースもあるため、初回は慎重な単位設定が推奨されます。

施術直後は無理に硬いものを噛まず、顎に負担の少ない食事を選ぶと、違和感が軽くすみやすくなります。

施術回数・値段・痛みの目安

当院の料金と薬剤について

当院では、韓国製ボツリヌストキシン製剤「リズトックス」と、厚生労働省承認のアラガン社製「ボトックスビスタ」の2種類を採用しています。

「通いやすい価格で定期的に続けたい方」と「薬剤の承認・持続性・安定性を重視したい方」の両方に対応できるよう、目的に合わせてお選びいただけます。

【韓国製ボトックス(リズトックス)】

リズトックスは韓国で承認されているボツリヌストキシン製剤で、日本国内でも多くのクリニックで使用されています。

アラガン社製に比べて価格を抑えやすく、「まず試してみたい」「定期的にメンテナンスしたい」という方に向いています。

※1単位 300円(リズトックス)

エラ 12,000円
エラ倍量 24,000円

【アラガン社製ボトックス(ボトックスビスタ)】

ボトックスビスタは、日本で唯一「しわ治療」を目的として厚生労働省の承認を受けているA型ボツリヌス毒素製剤です。

薬剤が広がりにくく、狙った筋肉にピンポイントで効きやすいこと、効果の持続が約4〜6か月と比較的安定していることが特徴とされています。

当院では、表情の出方や持続性、安全性を重視したい方にはアラガン社製をおすすめしています。

・額
・眉間
・鼻根
・目尻
・目の下
・たれ目
・バニー
・顎
・ガミー
・口角
1部位 28,000円
2部位 39,600円
3部位 56,100円
4部位 70,400円
5部位 82,500円
6部位 92,400円
エラ 43,780円
エラ 強力 71,500円

【韓国製とアラガン製の違いを簡単にまとめると】

項目 韓国製ボトックス(リズトックス) アラガン社製ボトックスビスタ
承認 韓国で承認、輸入による国内使用 日本の厚生労働省が承認した美容用ボツリヌス製剤
価格 比較的リーズナブルで続けやすい 韓国製より高価だが品質・管理体制が厳格
効果の持続 およそ3〜4か月程度と言われることが多い およそ4〜6か月程度とされ、安定しやすい
効果の広がり方 比較的広がりやすく、広い範囲にふんわり効きやすい 広がりにくく、ポイントを絞って効かせやすい
向いている方 コストを抑えつつ定期的に続けたい方 持続性や安定性、日本承認薬での施術を重視する方

どちらが「良い・悪い」というよりも、「予算」「どれくらいの期間持たせたいか」「どこまでピンポイントに効かせたいか」によって向き・不向きが変わります。

カウンセリングでは、筋肉の状態やご希望をお伺いしたうえで、医師が最適な薬剤と量をご提案します。

何回くらい続けると安定する?

多くの研究や臨床経験から、3〜6か月ごとに2〜3回繰り返すことで、効果の持続が安定してくるとされています。

1〜2回目 筋肉のボリューム・緊張を「慣らす」期間
3回目以降 戻りが穏やかになり、メンテナンス間隔を延ばせることも

その後は、症状や仕上がりの好みに合わせて、半年〜1年に1回のメンテナンスでキープしていくケースが多いです。

単位数・薬剤の違い(一般的な目安)

論文や海外の診療ガイドラインでは、咬筋へのボトックス投与量として、片側25〜50単位程度(アラガン社製ボトックスの場合)が用いられることが多いと報告されています。

筋肉 片側のおおよその単位 主な目的
咬筋 25〜50単位 食いしばり改善+小顔・エラ張り改善
側頭筋(併用時) 15〜20単位 側頭部痛の軽減・効果補強

※当院では、筋肉の厚み・顔立ち・年齢などを診察した上で、実際の使用単位を個別に調整します。

痛み・ダウンタイム・副作用

使用する針は非常に細く、痛みは「チクッとする程度」と表現されることが多いです。

施術時間は5〜10分ほどで、メイクをして帰宅できるクリニックも一般的です。

内出血・腫れ・赤みなどの軽い副反応が一時的に出ることがありますが、多くは数日以内に改善します。

ボツリヌストキシン治療全般では、頭痛や違和感などの軽い副作用が報告されていますが、重篤な合併症はまれです。

定期的に高用量を繰り返すと「抗体」ができて効きにくくなる可能性も指摘されており、適切な間隔と量の調整が大切です。

後悔を防ぐための美容外科での対策

カウンセリングで確認したいポイント

信頼できるクリニックほど、カウンセリングに時間をかけ、次のような点を丁寧に確認してくれます。

  • 咬筋・側頭筋の発達度、左右差、骨格・脂肪のバランス
  • 食いしばり・顎の痛み・頭痛など、機能面の症状の有無
  • 「小顔重視」か「症状改善重視」か、ゴールのすり合わせ
  • 想定される効果の出方・持続期間・必要回数
  • たるみや表情の違和感など、起こりうるリスクと対処方法

逆に、初回から大きな単位をすすめる・安さだけを強調する・リスク説明が不十分、といったケースは注意が必要です。

注入量と間隔の設計

後悔を防ぐうえで、初回は控えめに が基本です。

初回 少なめの量で安全側に設定し、2〜3週間後の経過を確認
2回目以降 仕上がり・噛みやすさ・たるみの有無を見ながら、量と間隔を微調整
3〜6か月ごとに継続し、「効きすぎないライン」を二人三脚で探していく

また、食いしばりの強さやストレスの状況によっても必要な間隔は変わるため、「いつ頃から戻り始めたか」をメモしておくと、次回の設計に役立ちます。

長期的なケアの考え方

ボトックスは一度で永続する治療ではないため、「長く付き合っていく」という視点が大切です。

歯科的アプローチ マウスピース(ナイトガード)や噛み合わせ調整
生活習慣の見直し ストレスマネジメント、姿勢・スマホ時間の調整
美容的ケア 年齢に応じて、ハイフ・糸リフト・スキンケアを組み合わせてたるみ対策

同じ医師に継続して診てもらうことで、「効き方のクセ」や「年齢による変化」を踏まえた長期プランが立てやすくなります。

まとめ:後悔しないためのチェックリスト

最後に、食いしばりボトックスで後悔しないために、カウンセリング前後に確認したいポイントをチェックリスト形式でまとめます。

  • 咬筋の発達だけでなく、骨格・脂肪・たるみの状態も評価してもらえたか
  • 「小顔」「食いしばり改善」「たるみ対策」など、優先順位を医師と共有できたか
  • 初回は控えめの量からスタートする方針になっているか
  • 想定される効果の出方・持続期間・必要回数について、具体的な説明があったか
  • たるみ・表情の違和感・噛みにくさなどのリスク説明と対処法の案内があったか
  • 何かあったときに相談しやすい、アフターケア体制が整っているか

これらを満たしているクリニックで、自分の表情やライフスタイルに合った量とペースを一緒に設計していくことが、自然で美しいフェイスラインを長く保つ近道です。

参考文献

  • Al-Moraissi EA, et al. Effectiveness of Botulinum Toxin Injection on Bruxism: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Aesthetic Plast Surg. 2023.
    <睡眠時ブラキシズムに対するボツリヌストキシン治療の有効性・安全性をまとめたシステマティックレビュー> PubMed
  • The Role of Botulinum Toxin for Masseter Muscle Hypertrophy. J Cosmet Dermatol. 2025.
    <エラの筋肉(咬筋肥大)に対するボツリヌストキシン治療の役割や副作用をまとめた総説論文> PubMed
  • Kang S, et al. A Review on Bigonial Width Reduction by Botulinum Toxin Injections in Masseter. J Stomatol Oral Maxillofac Surg. 2023;124(5):e123-e130.
    <ボツリヌストキシン注射による下顔面幅(ビゴニアル幅)縮小効果について整理したレビュー> PMC

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この記事の監修

小西 恒 医師
小西 恒

2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、 ジュビダームビスタ® 認定医、 ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、 日本美容外科学会(JSAS) 正会員、 日本産科婦人科学会 会員、 日本産科婦人科学会 専門医、 日本医師会認定産業医、 母体保護法指定医

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