防風通聖散の飲み方のポイントとは?服用時の工夫と知っておきたい注意点を解説

2025.4.18
美容コラム

防風通聖散とは?まず知っておきたい基礎知識

防風通聖散は、漢方医学において肥満症や便秘などの体質改善を目的として使われることがあります。ツムラなどの製薬会社からも提供されており、その効果が期待されています。主に18種類の生薬から構成されており、体内の余分な熱や水分を排出し、新陳代謝を促進する働きがあります。脂肪代謝をサポートすると言われており、体質改善の一環として用いられることがあります。

防風通聖散の主な成分とその働き

防風通聖散には、以下のような主要な成分が含まれています。​

  • 防風(ボウフウ):発汗を促し、体内の余分な水分を排出します。
  • 黄芩(オウゴン):抗炎症作用があり、体内の熱を冷ます効果があります。
  • 大黄(ダイオウ):緩下作用があり、便秘の改善に寄与します。
  • 麻黄(マオウ):交感神経に影響を与える成分が含まれており、体質によっては脂肪代謝に関連すると言われています。

これらの成分が相互に作用し、体内のバランスを整える漢方薬として、肥満や便秘などに悩む方の体調管理に用いられることがあります。

どんな人に使われる漢方薬か?

防風通聖散は、主に「体力があり、脂肪がつきやすく、便秘がち」という特徴を持つ方に向いている漢方薬です。いわゆる「実証」と呼ばれるタイプの人に適しており、体内に余分な熱や水分、老廃物がたまりやすい傾向がある方に効果が期待されます。こうした人は、顔や体に赤みが出やすかったり、のぼせを感じやすいこともあります。また、皮膚に吹き出物が出やすかったり、むくみやすかったりするなど、体内のバランスが崩れがちな状態にも対応できるのが防風通聖散の特長です。

この漢方薬は、ダイエット目的で注目されることが多いですが、体重を減らしたいという目的だけでなく、脂肪が内臓に蓄積しやすい方や、生活習慣病の予防を意識する人にも使われることがあります。ただし、体力があまりない「虚証」の人や、冷え性の傾向が強い方には合わない場合があるため、自己判断で使用するのではなく、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することが大切です。市販薬には品質管理がしっかりした粉状の防風通聖散もありますが、どの製品が自分に合うかを見極めることが効果を引き出すカギとなります。

また、精神疾患などの既往歴がある方は、漢方薬との相互作用に注意が必要です。特に防風通聖散のように体に働きかける力が強い薬の場合、既存の治療とのバランスを慎重に見極めなければなりません。防風通聖散の効果的な飲み方を実践するためにも、まずは自分の体質や体調をしっかり把握し、必要であれば専門機関に相談してから使用を始めるのが安心です。

副作用や注意点についても確認しよう

防風通聖散は比較的安全な漢方薬とされていますが、使用にあたっては注意すべき副作用やリスクも存在します。特に報告が多いのが消化器系の症状で、下痢や腹痛、食欲不振といった不快感が生じることがあります。これは、配合されている大黄(ダイオウ)や芒硝(ボウショウ)といった下剤成分によるものと考えられています。加えて、アレルギー反応として発疹やかゆみなどの過敏症状が見られることもあるため、初めて使用する際は体調の変化に十分注意する必要があります。

また、防風通聖散には麻黄(マオウ)が含まれており、これが交感神経を刺激し、血圧を上昇させる可能性があります。そのため、高血圧の方や心臓疾患のある方は、使用を避けるか医師の指導のもとで慎重に服用することが求められます。妊娠中や授乳中の方、小児、高齢者、または何らかの持病がある方も同様で、安全性が確認されていない場合が多いため、服用前には必ず医師や薬剤師に相談することが大切です。

さらに、統合失調症などの精神疾患を抱える方の場合、成分の影響が精神面に及ぶ可能性があるため、専門医の判断を仰いでから使用を検討すべきです。防風通聖散の効果的な飲み方を実践するには、自分の体質や病歴を正しく理解し、無理のない範囲で使用する姿勢が大切です

防風通聖散の飲み方とその工夫

防風通聖散の効果を最大限に引き出すためには、正しい服用方法と工夫が重要です。以下に、そのポイントをまとめます。

一般的な服用タイミングと飲み方

防風通聖散は、通常1日2~3回に分けて、食前または食間に服用することが推奨されています。食前とは食事の30分前、食間とは食後2時間以上経過した空腹時を指します。​

服用の際は、水またはぬるま湯で飲むことが一般的です。粉末タイプの場合、味が「まずい」と感じる方もいるかもしれませんが、効果を得るためには指示された方法での服用が重要です。​

継続期間はどのくらいが目安?

防風通聖散の効果を実感するためには、一定期間の継続が必要です。一般的には、2週間から1ヶ月程度の服用を続けることで、体調の変化を感じる方もいるようです。ただし、個人差があるため、効果が現れない場合でも自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談することが重要です。

服用中に意識したい生活習慣のポイント

防風通聖散の効果を高めるためには、以下の生活習慣の改善も併せて行うことが推奨されます。

  • バランスの取れた食事:脂肪分や糖分を控えめにし、野菜やタンパク質を適切に摂取することで、体内のバランスを整えます。
  • 適度な運動:ウォーキングやストレッチなど軽い運動を習慣づけることで、代謝が促進され、脂肪燃焼にもつながります。
  • 十分な睡眠:質の良い睡眠は、ホルモンバランスを整え、食欲のコントロールにも寄与します。

これらの生活習慣を見直すことで、防風通聖散の効果をより実感しやすくなるでしょう。

防風通聖散の使用を考えている人へ

防風通聖散の服用を検討している方は、以下のポイントを事前に確認し、適切な使用を心がけましょう。

自分の体質に合っているか確認する方法

防風通聖散は、体に余分な熱や水分をため込みやすく、脂肪がつきやすい「実証」と呼ばれる体質に向いている漢方薬です。そのため、やせ型で体力がない方や冷え性の方が服用すると、効果が得られないだけでなく、体調を崩すおそれもあります。自分がその体質に当てはまるかどうかを見極めるには、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのがもっとも確実です。また、市販薬を使う前には、添付文書をよく読み、特に統合失調症などの持病がある場合には、必ず専門家に相談することが大切です。そうした確認を怠らずに、安全に効果を引き出せる方法を探っていくことが「防風通聖散の効果的な飲み方」の第一歩となります。

市販と処方、どちらを選ぶべきか?

防風通聖散は、ツムラなどの製薬会社から市販されているほか、医療機関で処方してもらうこともできます。市販薬のメリットは、手軽に購入できる点ですが、自分の体質や症状に合っているかどうかがわかりにくいため、注意が必要です。一方、処方薬は医師の診察を受けたうえで出されるため、自分の体に合った成分量で服用でき、より安心して使うことができます。価格面では市販薬の方がやや高く感じるかもしれませんが、処方薬は保険が適用されるため、長期的にみるとコストを抑えられる場合もあります。統合失調症などの既往歴がある方や、複数の薬を服用している方は、必ず医師に相談したうえでどちらを選ぶか判断することが求められます。1日1回の服用で済む製品もあり、忙しい人にも続けやすくなっています。

BMIが高めの方は専門機関の相談も検討を

BMIが高い、いわゆる肥満傾向の方は、防風通聖散の対象とされるケースが多いです。しかし、肥満にもさまざまな原因があり、単に食べすぎや運動不足だけでなく、ホルモンバランスの乱れやストレスなどが関係していることもあります。そうした複合的な要因がある場合、自己判断で市販の漢方を始めても、期待した効果が得られないことがあります。特に統合失調症などの精神的な疾患を抱えている方は、体重管理のアプローチが異なるため、専門の医療機関に相談することが重要です。漢方薬だけに頼らず、栄養士や運動指導士のアドバイスを取り入れることで、より安全で継続しやすいダイエットが実現できます。防風通聖散を使う場合も、寝る前ではなく食後など、適切なタイミングを守ることで、より効果を感じやすくなります。

ダイエットとの付き合い方と防風通聖散の位置づけ

ダイエットに取り組む際、防風通聖散を取り入れることはひとつの方法ですが、それだけに頼るのではなく、総合的な生活習慣の見直しが重要です。漢方はあくまで体のバランスを整える手段であり、魔法の薬ではありません。信頼できる製品を使うにしても、効果を高めるためには毎日の食事や運動といった基本の積み重ねが不可欠です。特に、服用のタイミングを守り、粉末漢方が飲みにくくても正しい方法で継続することが成果につながります。また、1日1回だけでなく、継続的な取り組みが求められるため、2週間単位で経過を観察し、体調の変化に気づくことも大切です。統合失調症をはじめとする持病のある方は、自己判断を避け、専門医の意見を取り入れて安全に進めましょう。

漢方だけに頼らず、基本は食事と運動

防風通聖散の効果的な飲み方を考えるうえで、もっとも大切なのは、漢方だけに頼らず「食事と運動」を軸に据えることです。体脂肪の燃焼を助ける成分が含まれていても、暴飲暴食を続けていてはその効果も薄れてしまいます。脂質や糖分の多い食事を控え、野菜やタンパク質を中心にしたバランスの取れた食生活を心がけることが基本です。運動については、激しいものではなくてもかまいません。ウォーキングや軽いストレッチなど、日常的に体を動かす時間をつくることが、代謝の活性化につながります。漢方の粉は「まずい」と感じる人も多いですが、水でさっと飲み干すなどの工夫で続けやすくなります。防風通聖散は、寝る前ではなく食後などに決まったタイミングでの服用が効果的で、2週間ほどで変化を感じる方もいます。統合失調症などの持病がある場合は、無理なダイエットは避け、医師の助言を得ながら取り組みましょう。

日常生活の中でのバランスが大切

防風通聖散の効果を最大限に引き出すためには、日常生活の中で「無理なく続けられるバランス」を保つことが欠かせません。例えば、食後の服用を習慣化したり、毎日決まった時間に粉を飲むようにすることで、体がリズムをつかみやすくなります。加えて、睡眠の質を上げたり、ストレスをためない生活を意識することも重要です。とくに寝る前のスマホ利用を控える、ぬるめのお風呂に浸かるなどの習慣が、代謝の改善や自律神経の安定に役立ちます。ダイエットを長く続けるには、体だけでなく心の安定も必要であり、無理な我慢や急激な目標設定は、かえって逆効果になることもあります。防風通聖散を2週間続けることで少しずつ体調に変化を感じる人も多く、その変化を見逃さずに日々の行動に反映していくことが大切です。統合失調症の方など特別な配慮が必要な場合は、医師と連携しながら適切な方法を選んでいきましょう。

他の漢方との違いを知って使い分ける

防風通聖散は多くの漢方の中でも「実証」と呼ばれる体質に特化した処方であり、代謝の促進や便通の改善など、具体的な変化を感じやすいのが特徴です。これに対して、同じくダイエット向けに用いられる漢方には「当帰芍薬散」や「大柴胡湯」などもありますが、これらは「虚証」や「中間証」といった体力の少ない人向けに処方されることが多く、目的や効果も異なります。したがって、自分の体質や目的に応じて正しく選ぶことが、漢方を活かすうえで重要です。防風通聖散のような粉薬は、味がまずいと感じやすいですが、水や白湯と一緒に飲むなどして服用しやすい形に整える工夫も大切です。1日1回の服用ではなく、2〜3回に分けて飲むことが一般的で、継続期間としては2週間以上の服用で効果を実感する人が増えていきます。統合失調症などの既往がある方は、特に体質の確認を怠らず、使用前にしっかり医師に相談することをおすすめします。

まとめ

防風通聖散は、漢方の中でも脂肪代謝や便通のサポートが期待される漢方薬とされています。特に肥満傾向のある人に多く使われています。しかし、効果を実感するには、ただ飲むだけでなく、正しいタイミングや生活習慣の見直しが欠かせません。1日1回の服用ではなく、通常は2~3回に分けて食後に服用し、最低でも2週間は継続して様子を見ることが推奨されます。また、粉薬のため「まずい」と感じる方も少なくありませんが、水や白湯と一緒にさっと飲むなどの工夫で続けやすくなります。市販薬には信頼性の高い製品もありますが、自分の体質に合っているかどうかの確認は必須です。統合失調症をはじめとする既往歴がある方は、必ず医師に相談し、無理のない範囲で使用することが大切です。寝る前ではなく日中に飲むなど、タイミングを守ることも「防風通聖散の効果的な飲み方」につながります。健康的なダイエットには、漢方とともに、食事・運動・睡眠のバランスを見直すことが何よりも重要です。

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この記事の監修

小西 恒 医師
小西 恒

2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、 ジュビダームビスタ® 認定医、 ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、 日本美容外科学会(JSAS) 正会員、 日本産科婦人科学会 会員、 日本産科婦人科学会 専門医、 日本医師会認定産業医、 母体保護法指定医

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