「目が小さくなる」と感じる理由とは?額ボトックス後に知っておきたい注意

2025.8.30
美容コラム

額・眉間・おでこにボトックスを受ける人へ:注意点とは?

額ボトックスは、シワを目立たなくしたい方や表情を穏やかに見せたい方に人気の施術ですが、なかには「目が小さくなったように感じた」という声も一部で聞かれます。施術自体は短時間で終わり、ダウンタイムも比較的少ないため気軽に受けられる印象がありますが、その分、筋肉の動きに関わる副作用について事前に理解しておくことが大切です。とくに額やおでこ、眉間に注入する際は、顔全体のバランスが大きく変わる可能性があります。ここでは、施術が影響する顔の部位と、「目が小さくなる」と感じる理由について詳しく見ていきましょう。

顔のどの部位に効くのか(額/眉間/おでこ)

ボトックスは筋肉の動きを一時的に抑制する働きがあり、額のシワを作る前頭筋、眉間の縦ジワを作る皺眉筋や鼻根筋などに注入されることが一般的です。額のボトックスでは主に前頭筋に働きかけ、眉を上げたときにできる横ジワを和らげる目的があります。一方、眉間のボトックスでは、険しい印象を与える縦ジワを改善するため、眉間を引き寄せる筋肉の動きを抑えます。おでこと額は混同されがちですが、広く上部を額、眉上から中央をおでこと捉える医師もおり、部位ごとに異なるアプローチが必要です。部位ごとに狙いが異なるため、施術時にはそのバランスが極めて重要となります。

なぜ「目が小さくなる」と感じるのか

額や眉間へのボトックス施術後、「目が開きにくくなった」「まぶたが重たい」「二重幅が狭くなった」と感じる方がいます。こうした変化は、ボトックスの注入によって前頭筋の動きが変化した可能性に関連していると考えられています。前頭筋は眉を引き上げる働きがあり、この筋肉が働きにくくなると、まぶたを上げる補助が効かなくなり、結果的に「目が小さく見える」という印象につながるのです。また、もともと眼瞼下垂傾向のある方や、まぶたの脂肪が厚めの方は特にその変化を強く感じやすくなります。筋肉のバランスが崩れることで起きる副作用であり、こうした点を事前に理解しておくことが、施術前の不安軽減につながることもあります。

「目が小さくなる」主な原因とは?

ボトックス後に目が小さく見えるようになる理由は、単に「打ちすぎ」ではなく、筋肉の動きやバランスの変化に深く関係しています。ここでは具体的な要因を順に見ていきましょう。

前頭筋の効きすぎによる眉上げ力の低下

額のシワ改善を目的に前頭筋へボトックスを注入すると、その筋肉の動きが一時的に抑制されます。前頭筋は眉を持ち上げる役割を持つため、ボトックスが効きすぎると、眉を上げる力が低下し、まぶたが自然と下がる傾向になります。もともと眉の動きで目元を持ち上げていた人にとっては、目が開けにくくなったように感じ、「「目が小さく見える」と感じる一因になることがあります。特に額に強くシワを寄せる癖のある方や、加齢で上まぶたが重くなっている方は、その影響を受けやすい傾向があります。このような症状は副作用とまでは言い切れないものの、不適切な注入量や位置によってリスクが高まるため注意が必要です。

眼瞼下垂・眉毛下垂の顕在化

ボトックス注射がきっかけとなって、もともと隠れていた眼瞼下垂や眉毛下垂の症状が表面化するケースもあります。眼瞼下垂とは、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の機能が低下し、黒目が隠れるような状態を指します。普段は眉を無意識に上げることで補っている場合でも、ボトックスで前頭筋が制限されると、補正機能が失われて目が一気に小さく見えるようになります。また、眉毛が下がることでまぶたのたるみが強調され、目元全体がぼんやりとした印象になってしまいます。これらは“ボトックスのせいで起きた”のではなく、既存の状態が顕在化した結果とも言えます。

眉間やおでこの筋肉バランスの乱れ

額だけでなく、眉間やおでこへのボトックスが引き起こす“バランスの乱れ”も重要な原因のひとつです。表情筋は連動して動いており、ある部位の筋肉だけが動かなくなると、他の筋肉に負担がかかります。たとえば、眉間にのみ強く打ちすぎると、その周辺の筋肉が引き寄せられる力が働かなくなり、眉尻が下がったように見えることがあります。逆に、額上部ばかりに注射すると、眉中央部が引っ張られず下がってしまい、表情が重たく見える結果になります。このように、注入ポイントや筋肉の構造に合わない設計は、目の印象に大きな変化を及ぼすため、技術力と経験が非常に重要になります。

「目が小さくなった」と感じやすい人の特徴

すべての人が額ボトックスで「目が小さくなる」と感じるわけではありません。どのような方がこの副作用を感じやすいのか、事前に把握しておくことで対策にもつながります。まず、もともと眉を頻繁に動かして表情を作っている人は、前頭筋がよく働いており、そこにボトックスを打つと変化が大きく出る傾向があります。また、まぶたに厚みがある方や、軽度の眼瞼下垂を無意識に眉の力でカバーしている方も、筋肉のサポートがなくなることで「目が開けにくくなった」と実感しやすいのです。

これに対し、もともと前頭筋をあまり使わないタイプの人、目がパッチリと開いている人などは、変化を感じにくい傾向があります。また、30代以降で皮膚のたるみが出始めている方は、ボトックスの影響によってそのたるみが強調されやすくなるため、適応を慎重に見極める必要があります。施術前に医師がこうした特徴をしっかり把握し、リスクのある部位への施術を控える判断を下せるかどうかが、仕上がりの満足度を大きく左右します。

施術後の期間・自然回復の目安

ボトックスの効果には期限があり、永久に持続するわけではありません。目が小さく見えるといった副作用を感じた場合でも、時間の経過とともに改善する可能性が高いとされています。ここでは、効果の持続期間と自然回復の目安について確認していきましょう。

効果の持続期間(3~6か月)と回復までの見込み

ボトックスの効果は個人差があるものの、一般的には3~6か月程度が持続の目安とされています。前頭筋などに注入した場合も同様で、「目が小さくなった」と感じた副作用もその効果と連動して薄れていくケースが大半です。筋肉の動きが徐々に戻ることで、眉の引き上げも回復し、目元の印象が改善されることが多いです。初回の施術では効果が出すぎることがあり、2回目以降に注入量を調整することで違和感が軽減される傾向があります。よって、明確なダメージではなく一時的な変化と捉え、一定期間様子を見る姿勢も大切です。

施術後に違和感がある場合の対応方法と注意点

どうしても表情や目元の違和感が強い場合は、ボトックス緩和注射(医師の判断により、生理食塩水などで表情を調整する方法が用いられることもあります)※読点追加と冗長な表現を整理。で部分的に効果を弱める方法もあります。ただし、緩和剤は万能ではなく、狙った箇所だけを緩和するには非常に高い技術が求められます。また、緩和処置は複数回に分けて調整する必要があり、費用や回復期間の面でも計画的に判断することが大切です。施術前のカウンセリングで緩和の対応が可能かどうかを確認しておくことも、安心材料のひとつになります。

ボトックスが効きすぎた場合の回復サポートと対処法

額ボトックスの効果が強く出過ぎて目元に違和感が出た場合、まずは焦らず様子を見ることが基本です。ボトックスの効果は数日でピークを迎えたあと、時間の経過とともに緩やかに落ち着いていきます。約2〜3週間で自然な表情に戻る例も多く、特に軽度の副作用であれば、特別な対処をせずとも回復が見込まれます。ただし、明らかに目の開きが悪い、二重幅が変化した、まぶたが下がり続けるといった症状が現れた場合は、すぐに施術を受けたクリニックに相談すべきです。早期に診察を受けることで、緩和注射や再調整といった具体的な対応を提案してもらえる可能性があります。

また、医師の判断で「次回はヒアルロン酸に切り替える」「注入位置をずらす」といったカスタマイズを提案されることもあり、信頼関係が構築された医療機関であれば安心して再施術に進むことができます。万が一、対応に不安がある場合は、セカンドオピニオンを検討することも有効です。副作用の回復には時間と正しい対処の両方が必要となるため、施術後の過ごし方やモニタリング体制も重要になります。

「目が小さくなる」と感じる変化への対応方法

ボトックスによる副作用の大半は、施術設計の段階で回避できるケースが多くあります。目が小さく見えるような変化を防ぐには、筋肉の構造に合った注入計画と、繊細な調整が不可欠です。ここでは、具体的な予防方法を見ていきましょう。

注入量を少しずつ調整する

最も基本的な対策は、注入量を一度に多く入れすぎないことです。とくに初回施術では、「効きすぎ」を避けるために少なめの単位から始めるのが一般的です。様子を見ながら、必要に応じて数週間後に追加注入する「リタッチ方式」が推奨されており、表情への影響を最小限に抑えつつ自然な仕上がりを目指すことができます。

眉間・おでこの注入位置を最適化する

眉間やおでこのどこに打つかによって、目元の印象は大きく変わります。中央寄りばかりに注射すると、眉全体が下がったように見えて目が小さく感じやすくなります。反対に、額の上部に偏りすぎても表情が固くなってしまうため、全体の筋肉バランスを見た上で、丁寧に注入ポイントを設計する必要があります。

眼瞼下垂や眉毛下垂がある場合、先に治療する

もともと眼瞼下垂や眉毛下垂の傾向がある方は、ボトックスによって症状が強調されることがあります。そのため、これらの下垂が確認されている場合は、先にその治療や改善措置を行った上でボトックスを検討することが勧められます。医師の診察で筋肉の状態を見極め、無理に注射しない判断も大切です。

実績あるクリニック&医師選びの重要性

施術の仕上がりは、医師の経験と技術力に大きく左右されます。症例数が多く、筋肉の構造に熟知した医師であれば、顔全体のバランスを崩さずにボトックスを打つことが可能です。カウンセリングでしっかり相談に乗ってくれるクリニックを選びましょう。

ヒアルロン酸注入への切り替え選択肢

額のシワ改善を目的とする場合、ボトックス以外にヒアルロン酸注入という選択肢もあります。筋肉を止めずに肌の内側からボリュームを補うため、表情筋への影響を与えにくく、目元の印象に大きな変化が出にくいとされるケースもありますが、効果の感じ方には個人差があります。ボトックスと併用することで、より自然で立体的な額を演出できるケースもあります。

よくある失敗例と注意ポイント

ボトックスに関するブログや口コミには、多くの失敗談が投稿されています。ここでは、代表的な失敗例と、それを防ぐためのポイントを解説します。

二重幅が狭くなる/表情硬直/眉の形崩れ

注射後、目の開きが悪くなって二重幅が狭くなったり、まぶたが重くなったように感じたりする声は多く見られます。額や眉間への過剰注入が原因で表情全体が動かなくなり、不自然な印象を与えることもあります。眉の左右差が出る、眉尻が極端に下がるといった形崩れも、量と位置の調整ミスによるものです。

額打ち過ぎによる「ボトックススキン」状態

額に打ちすぎた結果、肌のハリや艶が不自然に出る「ボトックススキン」と呼ばれる状態になることもあります。皮膚の質感が変わり、メイクが浮きやすくなるなど、見た目にも違和感が出やすいため注意が必要です。

眉間・おでこへの過剰注入が誘発する症状

眉間やおでこへの過剰な注入によって、目元全体が重たく見える、額が不自然にのっぺりする、まぶたが下がって目が開けにくくなるなどの症状が出ることがあります。これらはすべて筋肉バランスの乱れが影響しているため、調整力のある医師の判断が不可欠です。

目元を大きく見せる補完策(サイド対策)

ボトックス後に目元の印象がぼやけてしまった場合、アイシャドウやアイラインの入れ方で立体感を補うメイク対策も有効です。特に目尻側に重心を置くことで、引き締まった印象を演出できます。

アイラインやまつ毛ケアで視覚効果を高める

まつ毛のカールや育毛、美容液によるケアも視覚的な「目力」アップに寄与します。アイラインも目尻を長めに引くことで、小さく見えがちな目を自然に大きく見せる視覚効果が期待できます。

表情筋トレーニングで自然に目を開く力を維持

筋肉の動きを完全に止めるのではなく、軽い表情筋トレーニングで眉やまぶたの可動域を維持することもおすすめです。筋肉を少しずつ刺激することで、回復期間をスムーズに乗り越える手助けになります。

施術による変化は、本人の違和感だけでなく、周囲の反応によって気づくこともあります。「表情がこわばって見える」「怒っているように見えた」と言われた場合、ボトックスの効き方が強すぎる可能性も考えられます。これらは明確な失敗ではなくても、コミュニケーションに影響する微細な変化であり、事前に防げる場合がほとんどです。

また、特に表情の印象が大切な接客業やサービス業に従事する人にとっては、目元の表情の変化が大きな影響を及ぼすことがあります。施術のタイミングや仕上がりを慎重に計画することが、社会的な影響も含めた「成功」と言える結果につながります。

まとめ

額ボトックスはシワの軽減に優れた整形手段のひとつですが、目元に副作用が出やすいデリケートな施術でもあります。とくに「目が小さくなった」と感じる原因は、前頭筋の抑制による眉の引き上げ力の低下や、もともとあった眼瞼下垂の顕在化など、複数の要素が絡んでいます。施術後の期間や経過に応じて自然回復することも多いですが、強い違和感が出た場合は緩和注射などの対策も視野に入れて検討する必要があります。

副作用を防ぐためには、注入量や位置の調整、顔全体の筋肉バランスへの理解、さらには適切な医師選びが欠かせません。ヒアルロン酸注入やメイクの工夫など、目元を引き立てる他の手段も組み合わせながら、自分の理想に近づける施術を計画的に進めることが大切です。

また、ボトックス施術はそのときの筋肉の状態や生活習慣によっても効果が変わるため、過去の経過や仕上がりの違いを把握しておくと、次回施術の参考になります。写真を残しておく、経過を記録するなどの工夫もおすすめです。自分の表情のクセや変化に気づくことで、納得のいく仕上がりにつながりやすくなります。

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この記事の監修

小西 恒 医師
小西 恒

2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、 ジュビダームビスタ® 認定医、 ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、 日本美容外科学会(JSAS) 正会員、 日本産科婦人科学会 会員、 日本産科婦人科学会 専門医、 日本医師会認定産業医、 母体保護法指定医

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