防風通聖散は、18種類の生薬を組み合わせた漢方薬で、体内に溜まった余分なものを排出し、肥満症を改善する目的で用いられます。
特に、体力が充実しており、お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな「実証タイプ」の人に適しています。
その仕組みは、脂肪細胞の分解・燃焼を促進する作用、便通を改善して老廃物の排出を促す作用、そして発汗や利尿を促してむくみを解消する作用の3つの柱から成り立っています。
効果を実感するまでには個人差がありますが、一般的には1ヶ月程度の服用で変化を感じ始め、効果判定には3ヶ月ほど継続することが推奨されます。

防風通聖散を1ヶ月間服用することで、体にいくつかの変化が期待できます。
ツムラをはじめとする多くの製薬会社から販売されているこの漢方薬は、単に体重を落とすだけでなく、体質そのものに働きかけるのが特徴です。
特に実感しやすい効果として、お腹の脂肪へのアプローチ、便通の改善、そしてむくみの解消が挙げられます。
これらの作用が複合的に働くことで、ダイエットをサポートし、すっきりとした体を目指すことができます。
ここでは、それぞれの効果について具体的に見ていきます。
防風通聖散には、脂肪の代謝を活発にする生薬が含まれており、特にお腹周りの皮下脂肪の減少を助ける働きが期待できます。
配合されている麻黄や荊芥などの生薬が交感神経に作用し、エネルギー消費を高めることで、体に蓄積された脂肪の分解と燃焼を促進します。
また、食事から摂取した脂質が体内に吸収されるのを抑える働きも持っています。
これらの作用により、継続的な服用は体重減少のサポートにつながります。
ただし、効果を得るためには、薬の服用と並行して食生活の見直しや適度な運動を取り入れることが大切です。
防風通聖散の代表的な効果の一つが、便通の改善です。
配合されている大黄や芒硝といった生薬には、腸の動きを活発にし、便を柔らかくして排出しやすくする作用があります。
これにより、慢性的な便秘に悩む人の症状を和らげ、腸内に溜まった老廃物をスムーズに体外へ出すことができます。
便が排出されることで、下腹部の張り、いわゆる「ぽっこりお腹」の解消につながります。
便秘が改善されると、肌荒れの改善や体全体の調子が整うといった副次的な効果も期待できる場合があります。
体内に余分な水分が溜まることで起こる「むくみ」も、防風通聖散がアプローチする症状の一つです。
麻黄や白朮などの生薬が、発汗や利尿を促すことで、体内の水分バランスを整え、余計な水分を排出するのを助けます。
特に、朝起きた時に顔がパンパンに感じる、夕方になると足がむくんで靴がきつくなるといった症状の改善が期待されます。
体重に大きな変化がなくても、むくみが解消されるだけで、フェイスラインや足のラインがすっきりとし、見た目の印象が変わることがあります。

防風通聖散を実際に1ヶ月試した人からは、さまざまな声が寄せられています。
効果を実感できたという肯定的な意見がある一方で、期待したほどの変化はなかった、あるいは体に合わなかったという否定的な意見も存在します。
医薬品である以上、効果や副作用の現れ方には個人差があるため、両方の口コミを参考にすることが、製品を客観的に理解する上で役立ちます。
ここでは、実際に寄せられた良い口コミと悪い口コミの具体例をそれぞれ紹介します。
肯定的な口コミでは、特に便通改善に関する声が多く見られます。
「飲み始めてからお通じが毎日来るようになり、お腹の張りがなくなった」「1ヶ月で2kgほど体重が落ち、ズボンが少し緩くなった」といった、体重減少や見た目の変化を報告する内容が目立ちます。
また、「むくみが改善されて、夕方の足のだるさが軽減された」「汗をかきやすくなり、代謝が上がった気がする」など、便通や体重以外の体質変化を実感している人もいます。
これらの口コミからは、食生活の改善や運動と組み合わせることで、より効果を感じやすくなる傾向がうかがえます。
一方で効果を実感できなかったという口コミも少なくありません。
1ヶ月間、用法通りに飲み続けたが体重や体脂肪に全く変化がなかった、または期待していた便秘解消効果が得られなかったといった声が挙げられます。
また副作用に関する報告もありお腹が緩くなりすぎて下痢が続いてしまったため服用を中止した胃の不快感や吐き気が出たなど体質に合わなかったケースも見受けられます。
効果が出ない理由としては服用期間が短い体質が薬に合っていないまたは生活習慣の改善が伴っていないことなどが考えられます。

防風通聖散の効果を適切に得るためには、製品に記載された用法・用量を守ることが基本となります。
漢方薬は飲むタイミングや飲み方が効果の現れ方に影響を与えることがあるため、自己判断で量を変えたり、不規則な飲み方をしたりするのは避けるべきです。
特に、吸収率を高めるための服用タイミングや、万が一飲み忘れてしまった場合の正しい対処法を理解しておくことが重要です。
ここでは、防風通聖散を効果的かつ安全に服用するためのポイントを解説します。
防風通聖散を含む多くの漢方薬は、食前または食間に服用することが推奨されています。
これは、胃の中に食べ物が入っていない空腹時のほうが、生薬の有効成分が効率的に吸収されやすいと考えられているためです。
「食前」とは食事の約30分前のことで、「食間」とは食事と食事の間の、食後約2時間を指します。
このタイミングで水または白湯で服用するのが一般的です。
ただし、胃腸が弱い方など、空腹時の服用で胃に不快感を覚える場合は、食後に服用する方が良いこともあります。
基本的には、購入した製品のパッケージや添付文書の指示に従ってください。
決められた時間に飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点で服用しても問題ありません。
しかし、次の服用時間が迫っている(例えば2〜3時間以内)場合は、飲み忘れた分は1回飛ばし、次のタイミングで通常量を服用してください。
飲み忘れたからといって、2回分を一度にまとめて服用することは絶対に避けるべきです。
過剰摂取は副作用のリスクを高める原因となります。
防風通聖散は通常、1日に2回または3回服用する製品が多いため、決められた回数を守り、毎日決まった時間に飲む習慣をつけることが、安定した効果を得るために重要です。

防風通聖散は医薬品であるため、効果だけでなく副作用のリスクも伴います。
服用を始める前には、どのような副作用が起こり得るのか、また、どのような場合に注意が必要なのかを正しく理解しておくことが安全な使用につながります。
特に、胃腸系の症状は比較的起こりやすい副作用として知られています。
その他にも、他の薬との飲み合わせや、妊娠中・授乳中といった特定の状況下での服用には特別な注意が必要です。
異変を感じた際には、速やかに服用を中止し、専門家に相談することが求められます。
防風通聖散の副作用として比較的よく見られるのが、下痢、腹痛、吐き気、食欲不振といった胃腸に関する症状です。
これらは、便通を促す作用を持つ生薬(大黄など)の働きが、体質によっては強く出過ぎてしまうことで起こります。
軽い症状であれば、体が薬に慣れるにつれて治まることもありますが、日常生活に支障が出るほどの強い下痢や腹痛が続く場合は、体が薬に合っていない可能性が高いです。
そのような場合は無理に服用を続けず、一度中止して医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
現在、他の医薬品を服用している場合は、防風通聖散との飲み合わせに注意が必要です。
特に、他の便秘薬や下剤との併用は、瀉下作用が過剰に強まり、激しい腹痛や脱水症状を引き起こす危険性があるため避けるべきです。
また、防風通聖散に含まれる甘草(カンゾウ)という生薬は、他の多くの漢方薬にも含まれています。
甘草を重複して摂取すると、偽アルドステロン症という副作用(むくみ、血圧上昇、手足のだるさなど)のリスクが高まることがあります。
常用している薬がある場合は、必ず事前に医師や薬剤師に相談し、併用しても問題ないかを確認することが重要です。
妊娠中または妊娠の可能性がある方、そして授乳中の方は、防風通聖散の服用を自己判断で行ってはいけません。
配合されている大黄(ダイオウ)などの生薬には子宮を収縮させる作用があり、流産や早産のリスクを高める可能性があります。
また、授乳中の方が服用すると、薬の成分が母乳に移行し、赤ちゃんが下痢を起こすことがあります。
これらの時期は体が非常にデリケートであり、薬の影響を慎重に考慮する必要があります。
どうしても服用したい場合は、安全性を確認するため、必ずかかりつけの産婦人科医に相談し、その指示に従ってください。

防風通聖散は、多くの製薬会社から様々な製品が販売されており、価格や成分量もそれぞれ異なります。
数ある選択肢の中から、どれが自分に適しているのかを判断するのは難しいかもしれません。
そこで重要になるのが、いくつかのポイントを押さえて製品を比較検討することです。
ここでは、自分に合った防風通聖散を選ぶために確認すべき3つのポイント、すなわち有効成分の含有量、続けやすい価格や剤形について解説します。
これらを参考に、効果と継続性のバランスが取れた製品を選びましょう。
市販の防風通聖散を選ぶ際の一つの基準が、有効成分の配合量です。
製品には、医療用医薬品で認められている1日分の生薬量を最大量配合した「満量処方」のものと、その量を1/2や2/3などに減らした「減量処方」のものがあります。
一般的に、満量処方の製品の方が高い効果を期待できますが、その分、副作用のリスクも高まる可能性があります。
初めて防風通聖散を試す方や、胃腸が弱いなど副作用が心配な方は、まずは成分量が少なめの製品から始めてみるのも良いでしょう。
パッケージに「満量処方」や「1/2処方」といった記載があるので、確認して選んでください。
防風通聖散は、効果を実感するためにある程度の期間、継続して服用することが推奨されます。
そのため、経済的に無理なく続けられる価格帯の製品を選ぶことが非常に重要です。
製品によって1ヶ月あたりの価格は異なるため、複数の製品を比較検討しましょう。
また、剤形には錠剤タイプと顆粒タイプがあります。
錠剤は漢方特有の味や香りが苦手な人でも飲みやすいメリットがあります。
一方、顆粒タイプは吸収が早いと感じる人もいます。
どちらが優れているということではないため、自分が毎日ストレスなく飲み続けられると感じる剤形を選ぶことが継続の鍵となります。

防風通聖散は肥満症の改善をサポートする医薬品ですが、飲むだけで痩せる魔法の薬ではありません。
その効果を最大限に引き出し、健康的なダイエットを成功させるためには、薬の服用と合わせて日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。
特に重要なのが、食事の管理と適度な運動です。
これら二つの習慣を意識的に取り入れることで、消費カロリーと摂取カロリーのバランスを整え、防風通聖散の脂肪燃焼サポート効果などをより高めることが期待できます。
ダイエットの基本原則は、摂取カロリーが消費カロリーを下回る状態を作ることです。
防風通聖散を服用していても、高カロリー・高脂質な食事を続けていれば、効果は現れにくくなります。
揚げ物や甘いものを控え、野菜、きのこ、海藻類などから食物繊維をしっかり摂り、肉や魚、大豆製品から良質なたんぱく質を摂取するなど、栄養バランスの取れた食事を心掛けてください。
1日3食を規則正しく食べ、間食や夜食を控えることも大切です。
極端な食事制限ではなく、長期的に続けられる食生活の改善を目指すことが、リバウンドを防ぐ上でも重要になります。
食事管理による摂取カロリーのコントロールと同時に、運動によって消費カロリーを増やすこともダイエット効果を高める上で欠かせません。
防風通聖散には脂肪燃焼を助ける働きがあるため、運動と組み合わせることで、より効率的な脂肪減少が期待できます。
まずは、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動から始めてみるのがおすすめです。
また、筋肉量を増やすことで基礎代謝が上がり、痩せやすい体質になるため、スクワットなどの筋力トレーニングを取り入れるのも効果的です。
日常生活においても、エレベーターを階段に変えるなど、こまめに体を動かす意識を持つことが大切です。

防風通聖散は、1ヶ月程度の服用で便通改善やむくみ解消、体質によっては体重減少といった効果が期待できる漢方薬です。
実際の口コミを見ると、これらの効果を実感する声がある一方で、体質に合わずに効果が見られなかったり、下痢などの副作用が出たりする事例も報告されています。
そのため、服用にあたっては、食前や食間といった適切なタイミングを守り、満量処方かどうかや価格、剤形などを考慮して自分に合った製品を選ぶことが重要です。
また、防風通聖散はあくまでダイエットを補助するものであり、その効果を最大限に活かすためには、バランスの取れた食事や適度な運動といった生活習慣の改善を並行して行うことが不可欠です。
2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、
日本美容外科学会(JSAS) 正会員、
日本産科婦人科学会 会員、
日本産科婦人科学会 専門医、
日本医師会認定産業医、
母体保護法指定医