脇ボトックス(汗止め)を打ち続けると後悔する!? 脇ボトックスの効果やデメリットを解説

2023.6.26
美容コラム

日差しの強い日が多くなり、汗をかく回数も増えてきました。
この季節になると悩みのタネとなりやすいのが、脇汗ですよね。

「脇ボトックス」という施術法をご存じでしょうか?
一般にボトックスと聞くと、皮膚のシワ、たるみなどを改善する施術法を思い浮かべる方が多いかもしれません。
実は多汗症やワキガにも効果を発揮するのが、脇ボトックスです。

この記事では、脇ボトックスの効果やデメリット、後悔しないための注意点などを詳しく解説いたします。
脇汗にお悩みの方、匂いや服の脇ジミなどが気になる方はぜひご一読ください。

脇ボトックスとは

そもそも脇ボトックスとはどのような施術でしょうか。
脇ボトックスは、ポツリヌス菌がつくるたんぱく質から生成されたボトックスを、脇の皮内に注射することで発汗量を抑制、減少させる効果のある治療法で、主に多汗症やワキガに効果を発揮します。
多汗症とは汗が異常に多く出る症状のことを指し、汗腺が密集している脇の下、手のひら、額、足の裏などにあらわれやすく、大きな外傷や痛みがないことから、ただの汗っかき体質だろうとあまり問題視しない方もいます。

汗っかきと多汗症はよく似ていますが、人より多くの汗をかきやすい汗っかきと、「日常生活に支障をきたすほどの汗をかく状態」の多汗症では大きく異なります。
多汗症に効果を発揮する脇ボトックスは、短時間で手軽に施術でき、ダウンタイムも少ないことから、特に夏場にかけて注目される男女問わず人気の施術法です。

なぜ汗をかくのか?

ここで、発汗のしくみについて少し解説いたします。
そもそも発汗とは、人体の体温調節機能のためのもので、とても大切なはたらきをしています。
体温調節を行っているのは脳の視床下部という部位で、発汗は脳がコントロールしていることになります。

2種類の汗腺の主なはたらき

汗を分泌する汗腺には、「エクリン腺」と「アポクリン腺」の二種類があります。
エクリン腺は全身のほとんどの皮膚に分布しており、無色無臭です。
暑いときや運動をしたときに体温調整のためにかく汗「温熱性発汗」や、辛いものを食べたときに味覚の刺激によってかく汗「味覚性発汗」などは、エクリン腺から発汗します。

一方、人前に出て緊張したとき、驚いたときに出る汗は、手のひらや足の裏など、限られた部位で短時間に発汗します。
これを「精神性発汗」といい、精神性発汗はエクリン腺、アポクリン腺両方から発汗します。

なかでも脇は、エクリン腺とアポクリン腺が共存し、温熱性発汗と精神性発汗の2つが両方起こる特殊な部位とされています。

汗はなぜにおうのか?

汗をかくと、それをエサにする細菌が現れます。
汗は水分や塩分だけでなく皮脂や老廃物も含んでおり、これらが細菌のエサとなります。
出たばかりの汗は無臭ですが、これらの物質を細菌が分解する過程で、特有のニオイ物質が発生し、不快な匂いを発生させます。

脇ボトックス施術のしくみ

では、脇ボトックスはどのようなしくみになっているのでしょうか。
汗は脳でコントロールされていると話しました。
体温が上昇すると、脳が汗腺に「汗を出してください!体温調節をしてください!」と指令を出します。

この汗腺に指令を出す、アセチルコリンという神経伝達物質の分泌を、ボトックスを注入し阻害することで、発汗を促す汗腺のはたらきを抑制する効果のある施術が、脇ボトックスなのです。
アセチルコリンは、汗腺に指令を出して発汗を促す神経伝達物質です。
ボトックスがアセチルコリンの放出を阻害することで、神経と汗腺の間の情報伝達がブロックされ、発汗を制御する効果が得られます。

つまり、ボトックスの注入によって汗腺のはたらきを一時的に抑制することができるのです。
脇ボトックスはこの特性を活かした施術です。

脳でコントロールされているものを、施術で止めてしまっていいのか?と不安になる方もいらっしゃると思います。
結論からお伝えしますと、発汗を止めることが健康上よくないということはありません。

ただ何事にも言えることですが、適度に用法用量を守ることが大切です。
また、脇汗を抑制することで他の部位の汗量が増えたというケースもありますので、施術前に担当医との綿密なカウンセリングを行うことをおすすめします。

脇ボトックスはこんな方におすすめ

脇ボトックスは、以下のようなお悩みを抱えている方におすすめです。

「夏になると脇の匂いが気になって億劫」

「Yシャツを着ると汗ジミが目立つ」

「施術したいけど少し怖い…」

脇ボトックスは、匂いや汗染みなどのお悩みに短期間で効果を発揮します。

 

脇ボトックスに期待できる2つの効果

では、脇ボトックスにはどのような効果が期待できるでしょうか。
以下に簡単にまとめてみました。

①汗や、気になる匂いの軽減
脇ボトックスの施術を受けることでもたらされる大きな効果として、汗や匂いを軽減させることが挙げられます。

②一時的なワキガへのアプローチ
独特の匂いが気になるワキガにも、脇ボトックスは一時的な効果を示します。
しかし、ワキガに関してはあくまでも一時的な効果に過ぎないので、本格的なワキガ治療を期待している方には向いていません。

個人差はありますが、脇ボトックスの効果は一般に2〜3日ほどで現れ、4〜9ヶ月にわたり効果を持続させます。
繰り返し施術することで、より効果を維持、実感できるでしょう。

 

脇ボトックスで得られる大きなメリット4つ

以下に脇ボトックスの施術を受けることで得られる大きなメリットを4つまとめました。

手軽に施術が受けられる

脇ボトックスで得られるメリットといえば、やはり手軽に施術が受けられる点でしょう。
脇ボトックスの施術にかかる時間は各クリニックによって違いはあれど、一般に5〜10分ほどと短く、身体への負担が少ないことが何よりの特徴です。
たった10分ほどで悩みのタネであった汗や匂いが軽減されるのであれば、「行ってみようかな」という気持ちになるのではないでしょうか。

傷跡が残りにくい

脇ボトックスはメスを入れる施術ではないので、傷跡が残りにくいこともメリットのひとつです。
残るとしても注射針程度の傷跡なので、目立つことはないでしょう。
術後、跡を気にせずノースリーブや水着を着ることができます。

ダウンタイムが少ない

また、脇ボトックスの施術はダウンタイムが少ない点も魅力的です。
ごくまれに内出血が起こる場合がありますが、2週間ほどで落ち着くでしょう。
もちろん個人差はありますが、日常に支障をきたすほどではありません。
次の日がお仕事でも、気にすることなく施術を受けることができます。

心理的な安心を得られる

脇ボトックス施術を受けることで、「夏になると着たい洋服が着れない」「匂いが気になって集中できない」などの心理的不安をなくすことができます。
今まで脇汗が気になって握れなかったつり革や、汗が染みやすい薄い色のブラウスを着るなど、できなかったことにチャレンジすることで心理的不安から解放され、ポジティブな気持ちになれることでしょう。

一方、脇ボトックスにはデメリットも存在することを知っておきましょう。

 

脇ボトックスのデメリット4つ

どんな施術にも必ずリスク・副作用やデメリットがあります。
以下に脇ボトックスのデメリットを4つまとめました。

脇ボトックスの効果に即効性はない

脇ボトックスの効果は、一般に2〜3日ほどで実感する方が多いようです。
個人差があるため、しっかりとした効果を実感するには数週間を要する場合もあります。
すぐに効果を実感したい方、この日に効果を実感したい!などの希望がある方は、計画を立てた早めの治療をおすすめします。

脇ボトックスの効果は一時的なもの

脇ボトックスは多汗症やワキガの症状を抑制することが目的の施術ですが、その効果は永久的に継続するわけではありません。
あくまでも「一時的な処置」に過ぎないので、多汗症やワキガの原因そのものを解決はしてくれません。

効果を持続させたいのであれば、繰り返し施術を受けることをおすすめします。
先述の通り、脇ボトックスの効果は一般に4〜9ヶ月ほど持続します。
大体年に1,2回の施術頻度で、効果を持続させることができそうです。

脇ボトックス施術により起こりうる副作用

どの施術にも言えることですが、やはり脇ボトックスの施術にも副作用が発生することがあります。
一般に脇ボトックスの副作用は内出血、腫れや赤み、筋肉痛のような痛み、倦怠感や頭痛などが知られていますが、極まれにアナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー反応を起こすケースがあります。

こういったケースは非常に少ないとされていますが、施術前に必ずクリニックの担当医との綿密なカウンセリングを行うことをおすすめします。
既知のアレルギー反応がある方は、必ず医師の許可を得てから施術を受けましょう。

コストパフォーマンスの悪さ

脇ボトックスの1回の費用は比較的安いと言えるでしょう。
当クリニックでも、部位によって差はありますが、一番安い部位で税込13,200円で施術を受けることができます。

しかし先述した通り、脇ボトックスの効果は一時的なものであり、永久的な持続は見込めません。
そのため、人によっては繰り返し施術を受けるので、トータルで見ると意外と高かったと思われる方もいるようです。

また、美容目的で受ける脇ボトックスの施術は自由診療となり、保険適用外となります。
重度の原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)と診断された方のみ、保険適用となるので、注意が必要です。

脇ボトックスを打ち続けるとどうなるか?

「抗体形成」という言葉をご存じですか?
ずっと同じ頭痛薬を服用していたら、ある日突然「効果が薄れたかな?」と感じた。
そんな経験はありませんか?

身体の中に頭痛薬に対する抗体ができてしまい、薬がなかなか効かなくなっている状態になってしまっているのです。
脇ボトックスも同じで、打ち続けると身体の中にボトックスに対する抗体ができ、治療を始めた当初に比べ、段々と効果が薄まっていく可能性があります。
抗体形成のリスクを減らすには、信頼できるクリニックで適切な使用量、施術頻度を守ることが大切です。

脇ボトックスで後悔しないための注意点

脇ボトックスで後悔しないためには、施術で起こりうるデメリット、リスク、効果の程をあらかじめ知ることが大切です。
先述の通り、脇ボトックスの効果は一時的なもので即効性はないこと、施術により副作用が起こる可能性があること、汗腺を破壊するなどの根本的な治療ではないことなどを念頭に置き、
クリニックの担当医と綿密なカウンセリングを行ってから、納得のいく施術を受けましょう。

脇ボトックスに関するよくある質問

脇ボトックスに関するよくある質問を以下にまとめました。

Q&A

脇ボトックスで使用する薬剤は、シワ・たるみなどのボトックス治療に使うものと同じでしょうか?

同じです。

ワキガは遺伝しますか?また、脇ボトックスを受けることにより完治しますか?

ワキガは遺伝します。また、片方の脇だけワキガになる方もいらっしゃいます。
頻繁に動かす利き腕は、血流が良くなりアポクリン腺が発達しやすいためです。
脇ボトックスは一時的な発汗の抑制に過ぎないので、完治を望むのであれば別の手術を医師に相談することが必要です。

脇ボトックスの施術効果は永久的に継続しますか?

脇ボトックスに半永久的な効果は認められません。
脇ボトックスの効果は一般に2〜3日ほどで現れ、4〜9ヶ月ほど持続します。
効果を継続させたい方は、定期的な施術が必要です。

どの施術にも共通して言えることですが、施術前のカウンセリング、不安をなくすことはとても大切なことです。
後悔しないためにも、信頼できるクリニック選びが大切です。

まとめ

脇ボトックスは、年々増加している多汗症や、独特の匂いを発するワキガの一時的な治療をしたい方に人気の高い施術法の一つです。
脇の皮内部位にボトックスを注入することで、発汗量を抑制、減少させます。

手軽に施術が受けられ、ダウンタイムも短いなどのメリットがある一方、効果に即効性はなく一時的なこと、副作用があること、トータルで見るとコストパフォーマンスが悪いこと、打ち続けると抗体形成ができる可能性があることなどのデメリット、リスクを鑑みた上で、信頼できるクリニックで、納得のいく適切な施術を受けることをおすすめします。

メディカルアルファクリニックでは多汗症治療の実績豊富な医師が患者様の症状や希望に合わせて丁寧に施術いたします。

この記事の監修
髙木 希奈

一般社団法人予防医療研究会 理事長
聖マリアンナ医科大学卒業
精神保健指定医、精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医
「Bell Clinic 松濤」 特別顧問
医療提携エステ「銀座メディック」顧問
著書に「あなたの周りの身近な狂気」(セブン&アイ出版)「間取りの恋愛心理学」(三五館)など。

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