ボトックス注射は、シワやエラ張りの改善、小顔・肩こりの改善や多汗症などの様々な改善効果の期待できる美容医療として有名です。
一度試してみたいと考えている方も多いでしょう。
しかし、副作用が心配でどうしようか悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。
この記事では、ボトックス注射で起こり得る副作用と注意点を詳しく解説します。
是非最後まで読んでボトックス注射の副作用に対する理解を深め、施術を検討するときの参考にしてください。
ボトックス注射は、「ボツリヌストキシン」というボツリヌス毒素由来の成分を原料とする薬剤を顔の皮膚に注射器で注入する美容医療です。
薬剤を注入した箇所の筋肉を弛緩させることにより、シワやエラ張りなどの改善が期待できます。
メスを使用した外科的治療と違って注射だけの施術なので、施術時間が5分程度と短く、体への負担が少ないことがメリットといえるでしょう。
しかし、ボトックス注射にも一定の副作用があるため、副作用を正しく理解し、リスクや注意点を踏まえた上で施術を検討することが重要です。
以下、ボトックス注射で起こり得る副作用を9つ紹介します。
ボトックス注射は注入した箇所の筋肉を弛緩させるため、その影響で顔の筋肉全体のバランスが崩れ、風邪をひいたときのような体のだるさや倦怠感を感じることがあります。
通常、数日程度安静にすれば治りますが、それでも治らない場合は早めに担当医に相談してください。
前述の体のだるさや倦怠感と同じ原因で頭痛が生じることもあります。
体のだるさや倦怠感と同様に、通常は数日程度安静にすれば治ることが多いでしょう。
しかし、発熱、めまい、吐き気なども一緒に生じている場合は薬剤が体質に合わなかったり、施術に問題があったりした可能性が考えられるため、直ちに担当医に相談してください。
ボトックス注射は顔の皮膚へ針を刺すため、一定の痛みが生じることは仕方ありません。
しかし、予防接種や採血などで使用される針と比べて細い針を使用しているため、それほど大きな痛みを感じないでしょう。
病院によっては痛みを和らげる麻酔を行うところもあるので、注射の苦手な方や痛みが不安な方は担当医に相談することをおすすめします。
顔の皮膚はデリケートなので、ボトックスを注入後に内出血・腫れ・痒みが生じることがあります。
1週間〜2週間程度様子を見て、治らない場合は早めに担当医に相談してください。
顎やエラにボトックスを注入すると、筋肉が弛緩し過ぎて噛む力が低下し、食べ物を噛むのが難しく感じることがあります。
特に硬いものを噛むときには違和感を覚えやすいでしょう。
食べることに支障をきたすほど噛む力が低下することは基本的に考えられません。
症状の程度にもよりますが、1週間程度で治ることがほとんどでしょう。
程度の差はあれ、誰しも顔のバランスは左右非対称ですが、ボトックス注射の施術にあたって、医師は患者の顔の左右バランスや筋肉量を考慮して注入箇所や薬剤の注入量を決定します。
しかし、注入箇所や薬剤の注入量の計算・調整が上手くできていないと、ボトックス注射後に顔の左右非対称が顕著になることがあります。
ボトックス注射の効き目が弱まれば改善されるので、1か月程度で治ることがほとんどでしょう。
1か月経っても治らない場合や非対称の程度がひどく直ちに治したい場合は、ボトックス注射の追加注入など担当医に相談してみるとよいかもしれません。
ボトックス注射の薬剤の量を誤った場合、筋肉が弛緩し過ぎて不自然な表情になってしまうことがあります。
不自然な表情とは、具体的には顔がこわばったり、口角が下がったり、口角の上向き加減に左右で差が生じるといった症状のことです。
眉の上に過剰な量の薬剤を注入した結果、眉が吊り上がったままとなる「スポックブロー」や薬剤が広範囲の筋肉に影響し過ぎて生じる「表情喪失」が代表例として挙げられます。
ボトックス注射の効果は数週間から数か月なので、この期間を過ぎれば徐々に症状が改善されるでしょう。
しかし、薬剤を体内から除去することは困難であり、この期間よりも早く改善することもまた難しいため、薬剤が体内に吸収されるまでの間安静にするしか対処法がありません。
薬剤の注入量を適切に処方できる医師の施術を受けるためにも、症例数の豊富なクリニックを選びましょう。
ボトックス注射を打つことで筋肉が弛緩した結果、その表面の皮膚のたるみが生じることがあります。
特に高齢者や皮膚の弾力性の低い方は皮膚のたるみが生じやすいでしょう。
通常、ボトックス注射の施術に当たっては施術後の変化を考慮してたるみが生じないように配慮しますが、施術する医師の力量が十分でない場合、上手く調整できずに皮膚のたるみが生じてしまいます。
ごく稀にボトックス注射を打つことでアレルギー症状として腫れ、赤みなどが生じることがあります。
重症化することはほとんどないとされており、発症しても1週間程度で治るでしょう。
しかし、体質によって重症化する可能性も完全には否定できませんので、症状が強い場合や1週間経っても症状が改善しない場合は速やかに担当医に相談してください。
ボトックス注射の9つの副作用を見てきましたが、大半は時間が経てば治るためそれほど心配する必要はないでしょう。
次に施術後の注意点についても解説しますので、施術後のケアの参考にしてください。
ボトックス注射を打った後に注射した部位を押したり揉んだりすると薬剤が拡散し、思わぬ副作用が生じるおそれがあります。
副作用を防ぐためにも、ボトックス注射を打った後は注射した部位をできるだけ触らず刺激しないように気をつけましょう。
ボトックス注射の薬剤成分「ボツリヌストキシン」は熱に弱い特性があるため、施術後に血流が増えて体温が上がってしまうとせっかくの施術効果が薄れるおそれがあります。
ボトックス注射を打った後3日間は、体温を上昇させないように安静に過ごしましょう。
飲酒、ジムでの激しい運動、マッサージなどの血流を促進する行為、温泉・サウナ・岩盤浴など発汗するほど体を温める行為は控えてください。
ボトックス注射は一定の副作用はあるものの比較的安全な美容医療ですが、施術を受けるべきでない方、止めておいた方が良い方もおられます。
以下、ボトックス注射を控えるべき場合について解説します。
神経に疾患を抱えている方は、治療薬とボトックス注射の薬剤成分が相互に影響し合う恐れがあります。
ボトックス注射は筋肉の弛緩効果があるため、神経疾患の治療薬と一緒に服用すると想定以上の薬効が生じたり逆に薬効が相殺されたりする可能性が否定できません。
ボトックス注射には神経疾患の治療薬を含め一緒に服用してはいけない禁忌薬が存在するため、薬を服用している場合は必ず担当医に相談し、重篤な健康被害を予防しましょう。
65歳以上の高齢の方はボトックス注射を打っても効果があまり見込めないとされています。
また、65歳以上の高齢の方は持病の薬を常飲している可能性が高く、ボトックス注射と禁忌薬の併用リスクもあるため、できる限り施術を控えた方が良いでしょう。
どうしてもボトックス注射を希望する場合は担当医に相談し、施術効果や副作用などのリスクを十分踏まえた上で検討することをおすすめします。
ボトックス注射は比較的安全な美容医療ですが、人間の精子・卵子や乳児の発育への悪影響はないとする正式な研究結果が出ていないため、胎児や乳児への安全性は完全に証明されていないといえます。
「妊娠中にボトックス注射を打っても特に問題なかった」というケースもあるようですが、安全を期して妊娠中や授乳中の方、また妊娠している可能性のある方はボトックス注射を打つのを止めておきましょう。
ボトックス注射は比較的安全な美容医療とはいえ、初めての場合は特に不安があるものです。その場合、クリニックのカウンセリングをおすすめします。
カウンセリングにおいて、医師からクリニックの方針、実績、施術内容などの説明を受けたり、分からないことや不安なことを質問したりしながら不安を解消しましょう。
以上、ボトックス注射の副作用や注意点などをご紹介しました。
ボトックス注射は比較的安全な美容医療なので、適切な施術が行われる限り、副作用のリスクは高いものではありません。
いずれの副作用も一定期間が経過すれば改善するケースがほとんどなので、それほど不安に思う必要はないでしょう。
カウンセリングを上手く活用し、副作用などの不安や悩みに向き合ってくれる、経験豊富で信頼できるクリニックを選んでください。
ボトックス注射は、ボトックスを注入した部位の筋肉を緩めることで、シワやたるみの改善、小顔効果や肩こりの解消など様々な効果が期待できる美容医療です。
定期的に受けることでより持続的な効果も見込めますので、シワやたるみ、エラの張りなどで悩んでいる方は、ボトックス注射を試してみる価値はあるといえるでしょう。
本記事がボトックス注射を受けようと検討されている方の参考になれば幸いです。
2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、
日本美容外科学会(JSAS) 正会員、
日本産科婦人科学会 会員、
日本産科婦人科学会 専門医、
日本医師会認定産業医、
母体保護法指定医