「笑った時に鼻が横に広がる」「鼻のしわが目立つ」といった悩みに対して、近年注目を集めているのが「鼻ボトックス注射」です。メスを使わずに鼻の広がりや形を“プチ整形”のように整える方法として、一般的に整形手術と比べてダウンタイムが短いとされるケースもありますが、個人差があります。ここでは、鼻ボトックスとは何か、鼻整形との違いや筋肉に働きかけるメカニズムを解説します。
鼻翼、つまり鼻の「横に広がる小鼻」部分に対してボトックス注射を打つという方法は、筋肉の働きをやわらげて小鼻が横に広がる動きを抑制することを目的としています。具体的には、笑ったときに鼻の孔が目立つ、または小鼻が広がると感じる方もいます。注入量や部位・筋肉の場所を医師が判断し、鼻先・鼻筋・鼻翼などの部位に対して「単位」で薬剤を調整して施術が行われます。費用(料金)はクリニックにより異なりますが、整形手術に比べて低額で済むケースも多く、「まずは試してみたい」「変化を出したいが大がかりな手術は避けたい」という方におすすめです。とはいえ、効果がないと感じるケースや、継続が必要になることもありますので、施術前に医師としっかり相談することが重要です。
鼻を高くする・横に広がる小鼻を縮めるといった改善を目的とする場合、ヒアルロン酸注入や鼻プロテーゼといった整形手術も有効です。ヒアルロン酸(ヒアル)注入では鼻筋を通して形を整え、鼻先を高くする効果が期待できますが、整形手術には永続的(永久)な変化が期待できる一方、ダウンタイム・費用・リスクが高くなります。対して鼻ボトックスは、筋肉の収縮を抑えることで横方向の広がりを抑える施術で、高くする・鼻筋を強調するというよりは鼻の横幅を目立ちにくくすることを目的とした施術です。整形とは目的も手段も異なります。「整形は根本的に骨格や軟骨・皮膚のバランスを変える」「注射は筋肉の働きを一時的に変える」という点を理解しておきましょう。
ボトックス注射では、対象となる筋肉に少量の薬剤を注入し、その筋肉の収縮を抑制します。鼻翼周辺では、鼻翼挙筋や鼻孔開大筋、上唇鼻翼挙筋などが関与しており、これらが強く働くと鼻が横に広がったり、笑った時に鼻の孔が開いたりします。ボトックスにより筋肉の動きを抑えることで、小鼻の広がりを「小さくする」「広がりを抑える」効果が期待できます。ただし、筋肉が完全に動かなくなるわけではなく、あくまで筋肉の“過剰な動き”を和らげるものであり、そのため「効果がない」と感じる方も少なからずいらっしゃいます。施術後には数日から1週間で効果が出始め、その後数ヶ月持続しますが永久的ではありません。また、鼻のしわ・横ジワ・汗・筋肉の収縮による変化などにも対応できる注入の量や単位を医師が設定します。

鼻ボトックスを受ける上で「どれくらい効果が出るのか」「期間・持続はどのくらいか」を知ることは重要です。ここではそのポイントを解説します。
鼻翼が横に広がる・笑ったときに鼻の穴が目立つ・団子鼻と感じる・エラなどで顔のバランスが気になるという方には、鼻ボトックスの適応が考えられます。
また、鼻筋や鼻先を“高くする”目的ではなく、小鼻を「小さく」「横の広がりを抑える」目的で相談されるケースが多く見られます。
たとえば、都市部の美容クリニックでは「鼻翼を整える」「小鼻縮小的な見せかた」のためにボトックスを選ぶ方も増えており、おすすめの治療法となっています。
ただし、鼻の高さ・鼻筋の“根”から変えたい、という希望には整形やヒアルロン酸注入の方が適しているため、医師の診察で「何を改善したいか」「その改善に有効な方法は何か」を明確にすることが大切です。
ボトックス注射後、効果が出始めるまでの期間は通常数日から1週間程度で、その後2~3週間で変化が安定してきます。単位(注入量)や部位、筋肉量・生活習慣によって個人差があります。たとえば、笑ったときの“鼻が横に広がる”動きがあった方は、注射後「笑ったときに鼻翼が小さくなった」「鼻の横幅が狭くなった」と感じることがあります。施術前に写真を撮っておくと、変化の見え方が明確になります。効果が出ない・少ないと感じた場合は、注入単位が足りなかったか、対象筋肉が異なる可能性がありますので、治療を行ったクリニックで相談しましょう。
ボトックスの効果は永久ではなく、一般的には3~6ヶ月程度持続すると言われています。その後、筋肉の働きが徐々に戻ることで、鼻翼の広がりや笑ったときの動きが再び気になる場合があります。継続して受ける場合は、注入量・注入位置・頻度を医師と相談しながら「効果が落ちる前に次回を検討する」ことが重要です。通院の頻度が少なければ年に2回程度、毎回の量が少なければ回数を増やすケースもあります。また、注射だけでなく、生活習慣(メイク・マスク・表情癖など)や鼻周りの筋肉の使い方も意識することで、持続性を高められます。痛み・腫れ・内出血のリスクも少ないものの、注入部位のケアや麻酔の有無・注射当日の活動制限などダウンタイムの確認も忘れずに行いましょう。

注射治療で鼻の横への広がりを抑えるアプローチには、メリットも多いですが、リスク・デメリットもしっかり理解しておく必要があります。ここではその両面を見ていきます。
鼻ボトックスは、特に小鼻が広がる・鼻翼が外側に張る・笑った時に鼻の両側が盛り上がるというお悩みの改善が期待されることがあります。
たとえば『小鼻を小さくしたい』『広がりを抑えたい』『皮脂や毛穴の目立ちが気になる』といったケースでは、注射のみでも改善の方法として有効です。
ただし、鼻筋を高くする・鼻先を高くする・鼻の根から高さを出すといった目的には、ヒアルロン酸注入や整形手術の方が適しており、ボトックス単独では限界があります。
団子鼻のように脂肪や軟骨のボリュームが主因となる鼻の場合、脂肪溶解注射(BNLS)や整形を併用する方法がおすすめです。
この治療の最大のメリットは、手術(整形)を行わずに注射だけで改善を目指せる点にあります。施術時間は10~15分程度、麻酔は局所麻酔または塗布麻酔、ダウンタイムは腫れ・内出血が出ても数日以内に改善するケースが多く、施術後すぐにメイクを再開できることもあります。さらに、笑顔の時に小鼻が横に広がるといった変化を抑えられるため、ガミースマイルや鼻翼の横張りなども改善傾向にあります。料金も整形手術に比べて低く、比較的費用が抑えられると考える方も多いです。
施術で使用するボトックスは、筋肉の動きを抑える薬剤であるため、注入量が多すぎると鼻の表情や呼吸に影響が出る可能性があります。具体的には、鼻翼の動きが少なすぎて笑った時の見え方が不自然になる、鼻の筋肉が弱まってバニーライン(鼻根部の横ジワ)が強調される、また注射による痛み・腫れ・赤み・内出血などが起こるリスクがあります。ダウンタイムは少ないものの「内出血がいつまで続くか」「メイクをいつからして良いか」など事前確認が必要です。効果がない・少ないと感じる場合、単位(注入量)が不足していたり、適応でなかったり、医師の技術・施術部位が適切でなかったりすることが原因となります。
鼻には「鼻根」「鼻筋」「鼻先」「鼻翼」「小鼻」といった部位があり、それぞれアプローチ方法が異なります。鼻先にボトックスを打つと「鼻先が下がる」「鼻筋が高くなる」という直接的な変化は一般的に期待できません。むしろ鼻翼の横の張りを抑えることで顔全体のバランスが整うという形です。一方、鼻根・鼻筋上部では横ジワ(バニーライン)や汗・皮脂が気になるケースがあり、ボトックスで汗・皮脂分泌を抑える治療と併用されるケースもあります。鼻中/鼻下部位であれば、笑ったときの鼻の広がりや鼻孔が見えるケースに対して有効です。どの部位をどう改善したいかを明確にしたうえで、部位ごとに最適な施術を選びましょう。

鼻翼の広がり改善には、BNLS注射という脂肪溶解注射も選択肢となります。ここではボトックスとの違いや使い分けを解説します。
BNLS注射は、植物由来の成分を使って顔・小鼻周辺の脂肪やむくみ(皮脂・脂肪細胞)を分解・排出する治療法です。小鼻の「横に広がる」原因が脂肪や皮下組織のボリュームである場合、この方法が有効な場合があります。マイクロ注射として4ccなど単位を用いて設定されることもあり、注射のみで施術が完了し、ダウンタイムも少なめという点が魅力です。ただし、鼻筋を高くする・鼻先の高さを出すといった効果は期待できず、あくまでボリュームを減らすための施術です。
ボトックスは筋肉の動きを抑えて「広がる鼻翼を小さくする」ことに特化しており、BNLSは「脂肪・ボリュームを小さくする」ことに着眼しています。もし鼻の悩みが「笑ったときに鼻が広がる」「鼻翼の筋肉が動いて張る」というタイプならボトックスが有効です。一方、「鼻が太い・団子鼻・皮下脂肪が多い」というタイプにはBNLSやヒアルによる施術が適しています。適応かどうかはクリニックで相談し、両者を組み合わせることで相乗効果を狙う方法もあります。
実際の症例では、鼻ボトックス+BNLS+ヒアルロン酸注入という組み合わせで「横に広がる小鼻を抑え、鼻筋に立体感を出す」というアプローチを取るクリニックもあります。こうした複合治療は「小鼻」「鼻筋」「鼻先」のバランスを整えられる一方で、料金(費用)は整形手術に近くなる場合があります。また、注射を重ねて継続することで筋肉が慣れてしまい、効果が出にくくなることもあります。施術前に「何回でいくらか」「期間はどれくらいか」「継続的な通院が必要かどうか」を確認しておくことが重要です。

どれくらいの料金がかかるのか、何回通うのか、という点は治療を検討する上で大きな判断材料です。ここでは、鼻ボトックスの料金・単位・通院頻度を具体的に解説します。
クリニックによりますが、鼻のボトックス注射の料金は1回あたり数万円台が一般的です。
たとえば、鼻翼の筋肉に打つ場合、4cc相当または単位換算された量で「30,000円~50,000円」程度という表示が多く、国内の美容クリニックでもこの範囲を目安にしていることが多いです。
ヒアルロン酸や整形に比べれば料金は低めですが、回数を重ねることで累積費用(年間費用)が高くなり、「効果を継続するにはいくらかかるか」という見通しも重要です。
注射量・単位(例えば4cc・2単位など)によって料金が変わります。筋肉の量・広がりの度合い・部位(鼻先・鼻翼・鼻筋)によって必要な単位は異なり、医師が診察時に最適な量を判断します。また、「のしわ」「汗」「エラ」「毛穴」「皮脂」など複数の悩みを一度に解決するとなると、注入量が増えて料金も高くなる傾向があります。見積もり時には「何単位打つか」「次回はどのくらいの量になるか」「継続割引はあるか」などを確認することが安心です。
効果が3〜6ヶ月持続するため、年間に2〜3回通院することが一般的です。例えば、1回50,000円として年2回行う場合、年間100,000円程度の費用となります。継続的に通うことを考慮して、通いやすさ・料金プラン・モニター制度の有無を含めてクリニック選びをしておくと良いでしょう。治療を継続したケースでは、複数回を重ねることで、徐々に変化を実感する例もあります。

実際の症例を見ることで「どんな変化が起こるか」がイメージしやすくなります。ここでは、鼻ボトックスの良いケース・効果が出にくかったケースの両方を紹介します。
治療前に「笑ったときに鼻が横に広がる」「小鼻が開いている」「団子鼻気味」だった方が、ボトックス注射後に「小鼻の幅が狭まった」「鼻翼の横張りが軽減した」「鼻筋がすっきり見えるようになった」という変化を得た症例があります。ただし、ビフォーアフターでも「鼻筋が高くなった」「鼻先が高くなった」という劇的な変化を示しているものは、整形手術やヒアルロン酸併用例に多く、純粋なボトックスだけで鼻を高くするという効果は限界があります。
満足度の高い例では、鼻翼の筋肉が過剰に働いているタイプ・笑ったときに小鼻が大きく動くタイプ・鼻周辺の皮脂や汗が多いタイプがあげられます。注入量・単位が適切で、通院期間をきちんと守り、治療後のケア・メイク・日常生活の注意を守った方は、変化がより明確でした。また、施術を開始してから継続し、3年程度治療を続けた方では「横に広がる鼻が気にならなくなった」「笑顔のときにも鼻が目立たない」などの声が多くあります。
一方で効果がないと感じた例としては、団子鼻で脂肪・軟骨のボリュームが主因となっているケース、注射量が少なめだったケース、医師の技術や適切な部位設定がなかったケースがあります。また、鼻筋が低い・鼻先に高さが欲しいという目的でボトックスを使用した場合、「期待していた鼻を高くする効果がない」と感じることがあります。こうした場合には、ヒアルロン酸注入や整形手術との併用を検討すべきです。

鼻ボトックスは注目を集めていますが、実は眉間や目尻、額など「しわ」に関連する部位への使用も一般的です。ここでは、他部位でのボトックス注射の活用や、美容大国・韓国での人気動向について見ていきましょう。
眉間に刻まれた「のシワ」は表情筋の動きが原因であり、ボトックスによって筋肉の収縮を抑制することで「シワ」を和らげる効果が期待されています。また、目尻や目の下は年齢とともに「ほうれい線」やたるみが目立ちやすくなる部分ですが、ボトックスを注射することで表情筋の働きをコントロールし、自然な若返りが目指せます。これらは「ボトックスリフト」として扱われることもあり、眉間を高くなるように見せたい方や、目元を細くするような表情調整にも有効とされています。
美容目的だけでなく、ボトックスは多汗症治療にも活用されています。
脇や背中、顔面などに注射することで、汗を抑制する働きがあり、特に春先には花粉症と相まって顔の汗や皮脂の過剰分泌に悩まされる方にとって、有効な選択肢となります。
また、鼻周辺の皮脂や毛穴の開きへの応用例も報告されており、「鼻のテカリを抑える目的」で施術を受けるケースもあります。
近年では国内の多くの美容皮膚科やクリニックでも対応が広がっており、花粉症時期の化粧崩れ対策としても注目されています。
ボトックスの効果がどれだけ持ち続けるか、つまり「持続期間」は個人差があります。通常3〜6ヶ月ほどで徐々に効果が薄れていきますが、定期的な施術によって筋肉の過剰な収縮を抑えられ、より長期間の変化を感じられることもあります。また、「経過」観察としては、治療直後の腫れや赤み、内出血がある場合でも、数日〜1週間以内に落ち着くケースが大半です。医師との相談の上で「何単位をいつ打つか」「ダウンタイムをどう過ごすか」などを計画することが、自然で効果的な施術につながります。

ボトックス治療では、副作用や金額面での不安を感じる方も少なくありません。ここでは、想定されるリスクや実際にかかる費用、施術単位について詳しく解説します。
ボトックス注射の費用は「単位」あたりで計算されることが多く、1部位あたり10〜30単位前後が一般的です。費用(金額)の目安としては、鼻ボトックスで1回あたり20,000〜40,000円程度が多く、部位や使用薬剤によって変動します。たとえば眉間+鼻翼で合計50,000円程度になるケースもあり、継続して受ける場合は年間コストとして15万〜20万円程度かかることもあります。
ボトックス注射による主な副作用には、内出血・赤み・腫れ・違和感・軽度の頭痛などがあり、一般的には数日以内に改善する一過性のものです。ただし、注射位置や単位が不適切だった場合には、表情が不自然に見えたり、笑顔時に左右差が目立つなどのリスクがあるため、経験豊富な医師による施術が推奨されます。また、鼻の場合は「鼻先のシワが残る」「鼻翼の広がりが戻る」といったケースも報告されています。施術前には必ず十分なカウンセリングを受け、「施術後いつまでに変化が出るか」や「化粧の再開タイミング」も確認しておくと安心です。

鼻翼の横の広がりや小鼻の張りに悩む方にとって、ボトックス注射は整形せずに改善を目指せる有効な選択肢です。しわ・汗・筋肉の動きを抑えることで「横に広がる鼻」「笑った時の鼻が目立つ」悩みにアプローチできます。整形手術とは目的が異なり、鼻を高くする・鼻筋を通すことを主目的とする場合にはヒアルロン酸や整形の方が適しています。効果は永久ではなく、3~6ヶ月程度で薄れてくるため継続施術や生活習慣の見直しが必要です。料金も1回あたり数万円からスタートできるものの、継続で費用が高くなるため予算・通院の継続性を見据えてクリニック選びをすることが大切です。注射だけではなく、メイクや日常の表情癖・肌の皮脂・毛穴なども改善ポイントとなるため、専門のクリニックで医師としっかり相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、
日本美容外科学会(JSAS) 正会員、
日本産科婦人科学会 会員、
日本産科婦人科学会 専門医、
日本医師会認定産業医、
母体保護法指定医