ヒアルロン酸注射は、シワの改善や輪郭を整えるための手軽な美容施術として広く行われていますが、施術後に痛みや腫れ、内出血などの症状が現れることがあります。これらの症状は多くの場合、一時的なものであり、数日から1週間以内に治まることが一般的です。しかし、症状の程度や持続期間は、注入部位や個人の体質によって異なることがあります。このセクションでは、ヒアルロン酸注射後に見られる主な痛みや症状の特徴について詳しく解説します。
ヒアルロン酸注射後に感じる痛みは、いくつかの要因によって異なりますが、大きく分けて2つの主要な種類が考えられます。一つは「施術時の物理的な痛み」、もう一つは「注入後に起こる違和感や圧迫感による痛み」です。これらの痛みは、個人の体質や施術を受けた部位によって感じ方が異なりますが、どちらも一時的なものがほとんどです。
まず、「施術時の物理的な痛み」について説明します。ヒアルロン酸を注射する際には、細い針やカニューレを用いて皮膚に直接刺入します。この際、針が皮膚を貫通することによる物理的な痛みが発生します。特に、皮膚が薄く敏感な部分、例えば唇や涙袋、鼻などでは、この針の刺入時に強い痛みを感じることが多いです。施術の際、医師は痛みを軽減するために麻酔クリームや局所麻酔を使用することが一般的ですが、それでも完全に痛みがゼロになるわけではありません。多くの場合、痛みは瞬間的なものですが、感受性が高い人や特に敏感な部位では、強く感じることがあります。
次に、「注入後に起こる違和感や圧迫感による痛み」についてです。ヒアルロン酸はジェル状の物質であり、注入すると皮膚や組織内で物理的なボリュームを生じさせます。そのため、注射後すぐに周囲の組織に対して圧力がかかり、違和感や圧迫感を伴う痛みが発生することがあります。このタイプの痛みは、特にヒアルロン酸の注入量が多い部位や、狭い空間に多く注入した場合に感じやすくなります。例えば、鼻や顎などの骨に近い部位では、ヒアルロン酸が骨の上に直接広がるため、圧迫感が強くなり、注入後数日間にわたって軽い痛みが続くことがあります。
ヒアルロン酸注射後にもっとも一般的に現れる症状の一つが、赤みや腫れです。これらは、針を刺した際の皮膚の反応で、特に皮膚が薄い部分に注入した場合に顕著です。例えば、涙袋や唇、ほうれい線などは腫れやすい部位です。この腫れは通常、施術直後から翌日まで続き、数日以内には収まります。しかし、腫れが大きく出る場合や長期間続く場合は、施術後のケアが不十分だったり、外部からの刺激が加わった可能性があります。特に、施術当日は激しい運動や長時間の入浴、アルコールの摂取は避けることが重要です。
腫れは、体がヒアルロン酸を異物と認識し、それに対して一時的な炎症反応を起こすために生じます。この反応は通常、24時間から48時間以内にピークを迎え、その後は自然に沈静化します。また、冷却シートや冷たいタオルで軽く冷やすことによって、腫れを早めに引かせることができます。腫れが引いた後でも、しばらくの間、軽い赤みや違和感が残ることもありますが、これはヒアルロン酸が組織に馴染む過程でよく見られる現象です。
ヒアルロン酸注射後、内出血が起こることがあります。これは、針が皮膚下の血管を傷つけた際に生じるものです。内出血は特に皮膚が薄い部位、例えば目の下の涙袋や鼻、唇、ほうれい線に注射した場合に起こりやすく、注射後すぐには見えない場合でも、翌日やその翌日に青あざや赤い点状の内出血として現れることがあります。通常、内出血は1〜2週間程度で自然に消えていきますが、消えるまでの間はメイクでカバーすることが可能です。
内出血が発生しやすい要因としては、個々の体質や血管の位置、注射技術が影響します。また、内出血を予防するために、施術前後にアスピリンや血液をサラサラにする薬の服用を控えることが推奨されることがあります。施術後に内出血が生じた場合、患部を冷やすことで症状を軽減させることができますが、強く圧迫しないように注意が必要です。内出血が長引く場合や、広範囲にわたる場合は、早めにクリニックに相談しましょう。
注射後に「むくみ」が出ることも少なくありません。ヒアルロン酸は水分を引き寄せる性質を持っているため、注射後にその部位が一時的にむくんで見えることがあります。特に、唇や涙袋など、もともと水分の影響を受けやすい部位ではむくみが顕著になることがあります。むくみは通常、施術後2〜3日間続きますが、1週間程度でほとんど解消されます。
むくみを軽減するためにも、施術後は冷却が有効です。また、施術後数日は頭を高くして寝ることで、むくみを最小限に抑えることができます。むくみが完全に引くまでの間、少し膨らんだ状態が続くかもしれませんが、これは一時的なものであり、ヒアルロン酸が皮膚に馴染むにつれて自然に解消されます。
ヒアルロン酸注射後、まれに皮膚の下に「しこり」のような硬さを感じることがあります。これは、注入されたヒアルロン酸が均一に広がらず、局所的にかたまりとして残ってしまう場合に起こります。しこりが発生しやすい部位としては、ほうれい線や唇、鼻など、比較的多くのヒアルロン酸を注入する部位が挙げられます。
しこりは、通常時間の経過とともに体内でヒアルロン酸が自然に分解・吸収されることで解消されますが、数週間から数ヶ月かかる場合があります。もししこりが長期間残ったり、痛みを伴う場合は、施術を行ったクリニックに相談することが推奨されます。場合によっては、ヒアルロン酸を分解する「ヒアルロニダーゼ」を使用してしこりを解消する処置が必要になることもあります。
ヒアルロン酸注射は、顔のシワを改善したり、輪郭を整えたりするために広く行われている施術ですが、痛みや腫れの強さ、持続期間は注入する部位によって大きく異なります。皮膚の厚さや神経の密集度、そして血管の多さなどが影響し、痛みの程度に違いが生じます。ここでは、代表的な注入部位ごとに痛みや腫れの持続期間、またその対策について詳しく解説します。
顎にヒアルロン酸を注入すると、顔の輪郭が整い、シャープでスッキリとしたフェイスラインを作ることができます。特に、横顔や正面から見た際にフェイスラインが引き締まるため、顎への注射は多くの人に人気の施術です。顎は他の部位に比べて皮膚が厚く、骨に近い位置であるため、施術後の痛みは比較的軽度ですが、注入量が多い場合や顎の形を大きく変える場合は、痛みが強く感じられることがあります。
施術後、顎に感じる痛みは通常、鈍い圧迫感や軽い痛みが続きます。痛みのピークは施術直後から翌日までで、軽い痛みや圧迫感は3〜5日程度でほとんど消えます。ただし、顎は食事や会話などで頻繁に動かす部位であるため、他の部位に比べて違和感や軽い痛みが長引く傾向があります。施術後は無理に顎を動かさないようにし、安静を心がけることで、痛みが早く和らぎます。もし痛みや腫れが長引く場合は、クリニックに相談して適切な処置を受けることが大切です。
鼻へのヒアルロン酸注射は、鼻筋を通すためや、鼻の形を整えるために広く行われます。注射後は、鼻が高くなり、顔全体の印象がシャープになります。しかし、鼻は非常に繊細な部位であり、皮膚が薄く骨に近いため、痛みや圧迫感が強く感じられることが多いです。特に、鼻先や鼻筋にヒアルロン酸を注入する場合、施術後数日は腫れや違和感が強く現れることがあります。
鼻に感じる痛みは、施術直後が最も強く、翌日には腫れがピークに達します。冷やすことで痛みや腫れを軽減させることができますが、痛みが完全に消えるまでには通常1週間ほどかかることがあります。鼻は皮膚が薄く神経が多いため、腫れや内出血が他の部位に比べて目立ちやすいですが、これも1〜2週間以内に自然に引いていきます。鼻へのヒアルロン酸注射は、見た目の変化が大きく出るため、回復期間中はできるだけ安静に過ごし、鼻に触れないようにすることが重要です。
涙袋は、目元の印象を大きく左右する重要な部位です。涙袋にヒアルロン酸を注入することで、目元にふっくらとしたボリュームが出て、若々しい表情を作り出すことができます。ただし、涙袋は非常にデリケートな部位であり、皮膚が薄く血管や神経が集まっているため、注射後に痛みや腫れが出やすい部位でもあります。
施術直後は、涙袋に強い腫れやむくみが現れることがあり、特に翌朝は目元が腫れて見えることがよくあります。痛み自体は比較的軽いものの、むくみや違和感が1週間ほど続くことがあり、目元の腫れが完全に引くまでには時間がかかる場合があります。痛みが軽度であっても、冷やすことで腫れを早く引かせることができるため、施術後のケアが非常に重要です。また、涙袋は内出血も起こりやすい部位であり、施術後に青あざができることもありますが、これも1〜2週間で自然に消えていきます。
おでこは、額のシワや凹凸を改善するためにヒアルロン酸が注入される部位です。おでこにヒアルロン酸を注入することで、シワが目立たなくなり、滑らかな表情を作り出すことができます。おでこは広い面積を持つため、注入量が多くなることが一般的ですが、皮膚が比較的厚く、神経も他の部位に比べて少ないため、痛みは比較的軽度です。
施術後は、軽い圧迫感や違和感を感じることが多いですが、痛みのピークは施術直後から翌日までで、3〜5日程度で違和感も含めて解消されることが多いです。表情を動かす際に一時的に痛みを感じることがありますが、これは施術部位が馴染むまでの一時的なものです。腫れや内出血もほとんど起こらないため、比較的早く回復し、日常生活に支障をきたすことは少ないです。おでこに注入されたヒアルロン酸は、しっかりと馴染むまでに時間がかかることもありますが、1週間ほどで自然な感覚に戻ります。
ほうれい線は、加齢により深く刻まれるシワを目立たなくするために、多くの人がヒアルロン酸注射を選ぶ部位です。ほうれい線にヒアルロン酸を注入することで、顔全体が若返り、リフレッシュした印象を与えることができます。ほうれい線は表情筋が活発に動く部位であるため、施術後に痛みや違和感を感じやすい特徴があります。
施術直後には軽い腫れや痛みが現れることが多く、特に内出血が起こりやすい部位でもあります。腫れや痛みのピークは施術後2〜3日以内で、1週間以内にほとんどの症状が消えることが多いです。内出血が出た場合は、青あざが2週間程度残ることがありますが、時間が経つにつれて徐々に消えていきます。ほうれい線に注射されたヒアルロン酸は、数日間にわたって硬さや軽い圧迫感を感じることがありますが、これは自然に解消されるため、特別な処置は必要ありません。
唇は、ヒアルロン酸注射でふっくらとしたボリュームを作り、魅力的な口元を演出することができる部位です。しかし、唇は非常に敏感な部位であり、注射後の痛みや腫れが他の部位に比べて強く出やすい特徴があります。唇への注射後は、すぐに腫れが目立ち、痛みを伴うことが多いです。
特に施術直後は唇全体が腫れているため、翌日以降も腫れやむくみが続くことがありますが、通常は1週間以内に症状が軽減します。痛みは食事や会話など、唇を頻繁に動かすたびに感じることがありますが、時間の経過とともに痛みは次第に和らぎます。唇の腫れや痛みを軽減するためには、施術後に冷やすことが有効です。また、唇にボリュームを持たせた場合は、初めは違和感が残ることがありますが、ヒアルロン酸が馴染むにつれて自然な感覚に戻ります。
額にヒアルロン酸を注入すると、額のシワを改善し、滑らかで若々しい表情を作り出すことができます。額は広範囲にわたって施術が行われるため、注射後に軽い腫れや違和感を感じることがありますが、痛み自体は軽度です。額は他の部位に比べて腫れや内出血が少ないため、施術後数日で痛みや違和感が解消されることがほとんどです。
表情筋を動かす際に一時的に痛みを感じることがありますが、これは数日以内に収まる傾向があります。冷やすことで、腫れや痛みをさらに軽減でき、施術後の回復を早めることができます。通常、1週間以内に自然な状態に戻り、施術の効果を実感できるでしょう。
ヒアルロン酸注射後に感じる痛みや腫れは、多くの場合一時的なものですが、できるだけ早く和らげたいと感じる人が多いでしょう。適切なアフターケアを行うことで、痛みや腫れを最小限に抑え、よりスムーズに回復することが可能です。ここでは、ヒアルロン酸注射後の痛みを和らげるための具体的な対策をいくつかご紹介します。これらを実践することで、回復を早め、快適に施術後の期間を過ごすことができます。
ヒアルロン酸注射後の痛みや腫れを軽減するために最も効果的な方法の一つが、患部を冷やすことです。冷却によって血管が収縮し、炎症や腫れを抑える効果があります。特に施術後24〜48時間は、腫れや痛みがピークを迎えるため、この時期に冷やすことで症状の悪化を防ぎ、回復を促進することができます。
冷却には、アイスパックや冷たいタオルを使用しますが、直接皮膚に当てるのではなく、薄いタオルなどで包んで冷やすことが重要です。これは、皮膚を冷やしすぎることで凍傷を引き起こさないためです。1回の冷却時間は5〜10分程度とし、数時間おきに行うと良いでしょう。特に、腫れやすい部位である唇やほうれい線、涙袋などに冷却を行うと、痛みや腫れの軽減に効果的です。また、冷却ジェルシートなどを利用することで、患部を冷やしながらも長時間冷感を保つことができ、より効果的なケアが期待できます。
冷やしすぎは逆効果になることもあるため、あくまで「適度な冷却」を心がけましょう。また、冷やすことで一時的に痛みが和らいだ後も、無理をして動かさないように安静を保つことが大切です。
ヒアルロン酸注射後の痛みや腫れを悪化させないためには、施術後48時間は注射部位をできるだけ触らないことが大切です。ヒアルロン酸は注射直後にはまだ完全に皮膚や組織に馴染んでいない状態であり、触れることでヒアルロン酸が偏って分布したり、施術部位に刺激を与えることがあります。特に唇やほうれい線、顎のように、顔の動きが多い部分では、無意識に触れてしまうことがあるため、注意が必要です。
また、施術直後に顔を洗ったり、メイクをする際にも、注射部位を強くこすることは避け、優しくタッチするようにしましょう。特に初回の施術後は、患部を強く押したり、マッサージしたりすると、注入されたヒアルロン酸の形が崩れ、痛みや腫れが長引く可能性があります。ヒアルロン酸が自然に馴染むまでの数日間は、顔に余分な刺激を与えないように意識し、患部を保護することが重要です。
ヒアルロン酸注射後の痛みや腫れを最小限に抑えるためには、血行を促進させる行動を避けることも重要です。施術後に血行が過度に良くなると、血管が拡張し、注射部位に余分な腫れや内出血が起こりやすくなります。特に、激しい運動、サウナや長時間の入浴、ホットヨガなどの活動は、体温が上昇し、血行が促進されるため、施術後48時間は避けるべきです。
血行が活発になると、ヒアルロン酸を注入した部位に余分な血流が集まり、腫れが悪化することがあります。特に顔は血流が豊富なため、施術後に長時間入浴したり、温かい環境に長くいることで、腫れが引くまでの時間が長くなることがあるため、施術当日はシャワーで済ませ、短時間で済ますことが理想的です。また、運動も激しいものは控え、軽いストレッチ程度に留めることが痛みや腫れの回復を早めるために効果的です。
飲酒や喫煙も、施術後の痛みや腫れを長引かせる要因になります。アルコールは血管を拡張させ、血流が増加することで、注射部位に炎症を引き起こす可能性があります。また、飲酒後に体内の水分バランスが崩れることで、施術後のむくみが悪化し、回復が遅れることも考えられます。施術後は少なくとも24〜48時間、できれば数日間は飲酒を控えることが推奨されます。
また、喫煙は血管を収縮させるため、血流が悪くなり、皮膚の治癒が遅れる原因となります。特に唇やほうれい線など、血流が重要な部位では、喫煙によってヒアルロン酸がうまく馴染まず、施術の効果が十分に発揮されない場合があります。さらに、タバコに含まれる有害物質は、皮膚の回復力を低下させ、腫れや炎症が長引く原因にもなるため、できるだけ禁煙を心がけることが大切です。
飲酒と喫煙は、どちらも回復を妨げる大きな要因です。ヒアルロン酸注射の効果を最大限に発揮させるためにも、術後の飲酒・喫煙は控え、皮膚の自然な回復をサポートすることが重要です。
ヒアルロン酸注射後の痛みや腫れを抑えるためには、上記の対策に加え、施術後の適切なアフターケアを徹底することが必要です。施術直後は、施術部位に特に注意を払い、少なくとも24〜48時間は顔に余分な圧力をかけないように心掛けましょう。また、施術当日はメイクを控え、翌日以降も軽いメイクにとどめることが推奨されます。
さらに、施術後に皮膚が乾燥しやすくなることがあるため、保湿をしっかり行うことも回復を助けます。ヒアルロン酸は水分を保持する性質があるため、肌を潤いのある状態に保つことで、注入されたヒアルロン酸がより効果的に作用し、持続性が高まることが期待できます。保湿剤や低刺激のスキンケアアイテムを使用し、皮膚の乾燥を防ぐことが、痛みや腫れを軽減し、より早い回復をサポートします。
ヒアルロン酸注射後の痛みや腫れは、多くの場合、数日から1週間以内に自然に収まります。しかし、まれに痛みが長引いたり、違和感が1週間以上続く場合があります。このようなケースでは、適切な対処法を知っておくことが大切です。また、ボトックス注射と併用している場合や、ボトックスとの違いに不安を感じる方もいるかもしれません。ここでは、痛みがいつまでも続く場合の対処法を、ボトックス注射との関連も含めて解説します。
まず、ヒアルロン酸注射とボトックス注射の違いを理解しておくことが重要です。両者は美容治療として人気がありますが、それぞれ異なるメカニズムで効果を発揮します。ヒアルロン酸は、皮膚の下に注入されて物理的にボリュームを与えることで、シワやたるみを改善するのに対し、ボトックスは筋肉の動きを抑制し、表情ジワを目立たなくするものです。
ヒアルロン酸注射後の痛みは、主に注入した物質が組織に圧力をかけることで発生しますが、ボトックスの場合は筋肉に作用するため、痛みの持続は通常短く、違和感も軽度であることが多いです。両方を併用している場合、ボトックスは比較的早く痛みが消える一方で、ヒアルロン酸による痛みや腫れが長引くことがあります。特に、ヒアルロン酸の注入部位に固さやしこりが残ると、圧迫感や違和感が続くことがあります。
一般的に、ヒアルロン酸注射後の痛みは軽度であり、多くの方が施術後数日以内に痛みを感じなくなります。注射直後は、針を刺した部分や注入部位に軽い痛みや圧迫感が残ることがありますが、これは体がヒアルロン酸を異物として認識し、それに対する自然な反応です。しかし、痛みが長引く場合、注入されたヒアルロン酸が適切に分布していない可能性や、体が強く反応している場合も考えられます。
痛みが1週間以上続く場合や、腫れが引かない場合は、クリニックで再評価を受けることが推奨されます。まれに、ヒアルロン酸が組織内で固まり、しこりとなるケースがありますが、これはヒアルロニダーゼという酵素を使ってヒアルロン酸を溶解することで改善できます。また、感染症の兆候がある場合には、抗生物質の処方が必要になることもありますので、異常を感じた際は自己判断せず、すぐに医療機関に相談しましょう。
ヒアルロン酸注射は、顔のシワや輪郭を整えるために広く使用される施術であり、ほうれい線、唇、鼻、顎、額など、さまざまな部位に施すことができます。また、近年では顔だけでなく、豊胸にもヒアルロン酸を使用するケースが増えてきました。特に豊胸目的でのヒアルロン酸注射は、メスを使わずにバストをボリュームアップできることから人気があります。
ヒアルロン酸注射後に感じる痛みや違和感は、注入した部位によって異なりますが、基本的には数日から1週間以内に軽減することがほとんどです。注射後、最も早く感じる症状は腫れや軽い内出血ですが、これらも自然に解消されていきます。ただし、「痛みはいつまで続くのか?」という疑問に対しては、個人差が大きいため一概には言えません。特に痛みや違和感が長期間にわたって続く場合は、早急にクリニックへ相談することが重要です。
豊胸にヒアルロン酸を使用する場合も、顔の施術と同様に腫れや違和感が伴います。特に豊胸は大量のヒアルロン酸を注入するため、施術後の違和感が長く続くことがあります。通常、1〜2週間程度で体に馴染んでいきますが、違和感が強く残る場合や、しこりが発生する場合もあります。このような場合も、ヒアルロニダーゼを使用することでヒアルロン酸を溶解し、状態を改善することができます。
ヒアルロン酸注射による豊胸は、シリコンバッグや脂肪注入に比べて手軽に行える施術ですが、注入量が多いため、痛みが長引くケースもあります。また、豊胸は顔に比べて動きが多い部位ではないため、痛みや違和感が軽減するまでの時間が多少長くなることもあります。施術後の痛みが気になる場合や、腫れがいつまでも続く場合には、早めに施術を受けた医師に相談することが大切です。
最後に、ヒアルロン酸注射の効果は永続的ではなく、徐々に体内に吸収されていくため、1年から2年後には再注入が必要になることがあります。特に豊胸の場合、バストのサイズを維持するためには定期的なメンテナンスが求められます。再注入の際にも、初回施術時と同様に痛みや腫れが出る可能性があるため、施術後のケアを怠らないようにしましょう。
ヒアルロン酸注射による美容施術は、安全性が高く即効性のある方法ですが、施術後のアフターケアと自分の体の反応をしっかりと見極めることが重要です。痛みや腫れがどれくらい続くかは個々の体質によって異なりますが、適切な対処を行うことで、より快適な回復期間を過ごし、最良の結果を得ることができます。施術後に不安を感じた場合や、痛みが予想以上に長く続く場合には、必ず専門のクリニックに相談するようにしましょう。
2008年に自治医科大学医学部を卒業。2010年に大阪府立急性期総合医療センター産婦人科に勤務後、2014年に大阪府障害者福祉事業団すくよかで医療部長を務めました。2015年から大阪府健康医療部で地域保健課主査を歴任し、2017年から愛賛会浜田病院産婦人科に勤務。2020年より某大手美容外科で働き、2021年には小倉院と心斎橋御堂筋院の院長を務めました。2023年からはルヴィクリニック院長に就任しています。
【資格・所属学会】
ボトックスビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® 認定医、
ジュビダームビスタ® バイクロス 認定医、
日本美容外科学会(JSAS) 正会員、
日本産科婦人科学会 会員、
日本産科婦人科学会 専門医、
日本医師会認定産業医、
母体保護法指定医